芥川龍之介「鼻」あらすじ・読書感想文

感想文

 

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芥川龍之介の短編小説「鼻」は、とても読みやすくて短い物語です。あらすじを簡単に一言でまとめると、

”あごの下までぶらさがる大きな鼻の僧侶が、必死に短くしようとするお話”

です。

そんなユーモア溢れるわかりやすいストーリーなんですが、同時にコンプレックス・劣等感というものについて考えさせられる内容となっています。

サクッと読めるけれど、しっかりとテーマがあって読書感想文が書きやすい題材と言えるでしょう。感想文がすこし苦手という方に、とくにおすすめの一冊です。

 

本記事では、「鼻」の

  • あらすじ
  • 読書感想文

をご紹介しています。あなたが感想文を書く際のヒントになれば幸いです☆

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あらすじ

禅智内供の鼻は、池の尾では有名である。それは、顔の真ん中からあごの下まであるほど長くて太い鼻である。

50歳を超えた内供は、この鼻を気にしていないような顔をしているが、内心では気にしている。内供は、ご飯を食べるとき一人では食べることが出来ず、弟子に持ち上げてもらっていが、ある時、弟子がくしゃみをした瞬間に手が滑って熱い粥の中に落とすこともあった。

また、このような鼻だから妻になる者もなく出家したのだろうと噂され、自尊心が傷つけられていた。

 

内供は少しでも鼻が短く見える方法を研究したが、一度も短く見えたことはない。また他人の鼻も気になっており、自分と同じように長い鼻の人を見つけて安心したかったのだが、これまでに見たことはない。

 

ある秋の日、弟子が鼻を短くする方法を教わってきた。

内供は鼻など気にしていない風を装っていたが、弟子が熱心に進めるのでその方法を試してみた。その方法は、鼻を熱い湯で茹でて人に踏ませるという簡単なものであった。

実際にやってみると、手も浸けられないほど熱い湯であるのに、鼻は湯に入れても熱くないのである。鼻が痒くなってきた頃、湯から鼻を出し、内供が横になって弟子が鼻を踏んだ。

しばらく踏みつけた後、再び茹でた。すると、これまで長かった鼻が短くなっていた。しばらくは、また長くなるのではないかと不安に思って鼻をなでていたが、短いままだったので気分が良くなった。

 

しかし、鼻が短くなって2~3日たった頃、周囲の人々が内供の鼻をじろじろ見たり、クスクス笑ったりしているのに気が付いた。以前に粥を食べるときに鼻を持ち上げていた弟子は、堪えきれずに吹きだすほどだった。内供は鼻が短くなったことが恨めしくなり、機嫌が悪くなった。

 

ある夜、鼻がむず痒くなってきて手で触ってみると、熱があるようだった。翌朝、鼻に手をやると以前のように顔の真ん中からあごの下まであるほど長くて太い鼻がぶら下がっていた。内供はこれで誰も笑うものはいないだろうと、晴れ晴れとした気持ちになった。

読書感想文例

この小説のテーマは、人と大きく違う特徴のせいでコンプレックスを感じて悩んでしまうということだと思う。また、そのコンプレックスが治っても、また別の悩みが生まれてくるところまで描かれていたのが、印象に残った。

 

主人公の大きな鼻と同じように、自分の容姿にコンプレックスを感じて悩んでいる人は多いのではないかと感じる。

「目が細い」とか、「太っている」とか「足が短い」など、人によって内容は様々である。他人が見てもそれほど気にならない小さな事でも、本人にとっては大問題だったりする。例えば、犯人などの特徴を聞かれた時、身体的特徴を述べることがある。「ぽっちゃりしている」や「キツネ目のようだ」などである。

指名手配犯の場合は逮捕しなければならないので、分かりやすく特徴を述べる必要があるのだが、第一印象を聞かれた時に他人の特徴として述べる部分が、本人にとってはコンプレックスに感じている事だったりするのだ。

 

小学生の頃には、容姿をからかいの材料にすることがあり、「デブ」や「チビ」などは典型的な一例である。

過去には身体的特徴が他とは違うことで差別につながったこともあった。それは、第2次世界大戦中のドイツでヒトラーによって、ユダヤ人が迫害されたという悲しい歴史だ。

ヒトラーは、ユダヤ人をドイツ民族と区別するために、ユダヤ人の身体的特徴を学校の授業で教え、ユダヤ人を見たら通報するように教育していたのである。これは、ユダヤ人にとって隠しようもない事であり、悩むどころか恐怖の何物でもなかったと想像する。

また、日本人も白人から同じように見られた過去がある。このように身体的特徴を「自分たちと違う事」として認識し、差別へと導く事が実際にあったのである。

 

内供は、鼻が短くなるように努力をし、今でいう美容整形に相当するようなことも試し、一度は鼻が短くなったが、結局、鼻が短くなっても悩みが尽きることはなかったのである。

周りの僧や子ども、今まで長かった鼻が短いことで逆に笑われてしまい、今度はそれが気になった。たとえ一つの悩みが解消されても、新たに別の悩みが出てきている。

 

本当にコンプレックスを解消し克服するには、その特徴は自分の個性であると受け入れて、認めることから始めることが大切なのだろうと感じた。

何かを否定しようとすると、そこからエネルギーが漏れてしまい、悩み続けることになると思う。

深刻なコンプレックスであればあるほど、簡単なことではないけれど、自分で自分を否定せずやさしい目で見てあげることが、悩みのループから抜けだす近道なのではないかと考える。

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まとめ

「鼻」のあらすじ・読書感想文の例文を見てきましたが、感想文の流れはイメージできましたでしょうか。

最後に感想文を書くにあたって、おさえておきたいポイントをご紹介します。「鼻」のテーマなんですが、それは

 

コンプレックス(他人の目を必要以上に意識してしまう)

 

です。これについてユーモアを交えて描かれています。とくに、主人公の僧侶の心境の変化なんて面白いです。

鼻が大きすぎることで笑われていた僧侶がやっとの思いで短くなったら、逆に短いのが変だと笑われてしまう。そして、最後に鼻が元通り大きくなったことに僧侶は安心する。

といった感じで、ラストがオチのようになっています。

 

”結局、他人の目なんていい加減なもので、自分自身がどう思うかが大切”

そんなメッセージが込められているように感じました。必要以上に他人の目を気にして思い悩むのではなく、自分の感情はしっかりと自分でコントロールしたいものですよね。

というわけで、このお話のテーマであるコンプレックスについてあなたの意見を交えて書くと、感想文がすらすら進むと思います。ぜひ、素敵な感想文を書いてみてくださいね(*^^*)

他の作品が気になったら、こちらでおすすめ作品をまとめていますので、よければご覧になってみてください👀

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