200万部を越えるベストセラー、『100万回生きたねこ』という本のタイトル通り、何度も生まれ変わっては生き続ける猫の物語。輪廻転生を繰り返す猫の成長を通して、愛や命について考えさせてくれる名作です。
2012年に映画化、2013年にはミュージカル化もされ、話題になりましたね。
シンプルながら余韻の残る深みのあるストーリーのため、小学生や中学生の読書感想文の課題図書としても取り上げられることが多い一冊です。
本記事では、
- 簡単なあらすじ(結末まで内容がわかる)
- 読書感想文の例
をご紹介しています。ぜひ、感想文を書く際の参考にしていただければ幸いです☆
あらすじ
100万年も死なないねこがいた。100万回も死んで、100万回も生きた。りっぱなとらねこだった。
あるとき、ねこは王様のねこだった。ねこは、王様なんか嫌いだった。ある日、ねこは矢に当たって死んでしまった。王様は泣き、戦争をやめて、お城の庭にねこを埋めた。 あるとき、ねこは船のりのねこだった。ねこは、船のりなんか嫌いだった。ある日、ねこは船から落ち、びしょ濡れになって死んでしまった。船のりは泣き、遠い港町の公園の木の下にねこを埋めた。 あるとき、ねこはサーカスの手品使いのねこだった。ねこは、サーカスなんか嫌いだった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あるとき、ねこはひとりぼっちのおばあさんのねこだった。ねこは、おばあさんなんか大嫌いだった。おばあさんは毎日ねこを抱き、ねこは一日中おばあさんのひざの上で眠っていた。
あるとき、ねこは小さな女の子のねこだった。ねこは、子どもなんか大嫌いだった。ある日、ねこは女の子の背中で、おぶいひもが首に巻きついて死んでしまった。女の子は一日中泣き、庭の木の下に、ねこを埋めた。 ねこは死ぬのなんか平気だった。
あるとき、ねこはのらねこになった。はじめて自分のねこになり、ねこは自分が大好きだった。どんなメスねこも、ねこのお嫁さんになりたがった。 だけど、たった1匹、ねこに見向きもしない、白い美しいねこがいた。ねこは少し腹を立て、次の日も、次の日も、白いねこのところに行った。 ある日、ねこは「おれは、100万回も……」と言いかけ、「そばにいてもいいかい」 白いねこは「ええ」と言った。
白いねこは、子ねこをたくさん産んだ。ねこは、白いねことたくさんの子ねこを、自分よりも好きなくらいだった。 やがて、子ねこたちは大きくなり、どこかに行った。白いねこは少しおばあさんになり、ねこはいっそう優しく、グルグルとのどを鳴らした。 ねこは、白いねこと一緒に、いつまでも生きていたいと思った。やがて、時が過ぎ白いねこは静かに動かなくなってしまった。ねこは、悲しみにくれ泣き続けた。そして、とうとう動かなくなり、その後生き返ることはなかった。 |
読書感想文
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人から大事にされているのだけど、なぜだか大丈夫じゃない、自由じゃないと感じるのは、ねこだけではなく人も同じなんだろうと思う。
例えば、子どもは大人のもとで大事に育てられるけれども、必ず思春期が来て、自由を求めて旅立っていく。ねこがいつも飼い主を嫌いであるのは、そんな子どもの思春期に似ているのではないだろうか。
大人はというと、ねこが死ぬと悲しむ飼い主と同じように、子どもに何かあると不安になったり困ったりしたりする。だけど、当の子どもたちは、割とけろっとしたり、むしろその失敗なども楽しみにしていたりする。自由の中の自由な失敗が、心をワクワクさせているのかもしれない。
そしてねこは、のらねこになった。自分大好きなねこになれてウキウキしているねこだが、最初の試練が訪れる。いままでどおり、周りからモテモテになってさらに気が大きくなって自信満々だったのに、生まれて初めてそっけない態度を取られてしまったのだ。白い美しいメスねこは、調子に乗ったねこを引きつけた。
ねこのほうはプライドが傷つけられたようだったけれど、どこかでプツンと、張っていた意地がほつれて、白ねこにプロポーズをすることができた。
大人になるって、こういうことなのかな、と思った。
意地を張らない、というのは、本当に難しいことだと思う。それこそ、自分に自信を持つために、自分を保つために、「プライドを持つ」ということは必要不可欠だと思い込むことがある。だけど、自分を持つということは、必ずしも「プライドを持つ」ということではないんだと、この本を読んで改めて思った。
ニュース番組を見ていてよく思うことがあるのだけど、スポーツ選手など、勝負事にたずさわる人というのは、みんな等しく謙虚だと思う。「周りの人の協力があったからこそ、今の自分がある」と言っている人ばかりだ。だからこそ、それが結果として出ているのだと思う。そして、自分の自信に繋がっていくのだろう。
ねこは白ねことの間に、子どもをもうけた。そこで、ねこはとうとう、自分よりも、子ねこたちと白ねこたちのほうが、大好きになっている。大人になってねこは、とうとう、親になったのだ。自分から自分、そして自分からお嫁さんに、最後は自分から家族に、愛が注がれている。
子どもたちが旅立ち、ねこはいっそう、お嫁さんへの愛をふくらませている。本当に幸せな家庭とは、きっとこんな家庭のことを言うんだろうなと思った。家族の一人一人が自分と家族を愛し、そしてそれぞれの生き方を大事にし、命を終える。
人生の宿題が残っていると、人は何回も人生をやり直すという。仏教では「輪廻転生」とかいうらしい。
このねこの宿題は、どこにあったのだろう。どこかすねているというか、プライドが高いところを、直して欲しかったのだろうか。だけどそれも、白いねこというお嫁さんと会い、家族を得たことで、終わったのかもしれない。
人生は早い。光陰矢のごとし、瞬く間に過ぎて行く。
わたしも、人生悔いのないよう、やり残しがないように、みんな仲良く暮らしていこうと思った。
「100万回生きたねこ」あらすじ・感想文まとめ
”感動する””泣ける”といった感想が多いこの本ですが、あなたはどんな風に感じましたでしょうか?
私自身は、正直なところ泣いたり感動したりはしませんでした。ただじんわりと気持ちがあったかくなるような読後感でした。生まれては死ぬことを繰り返した猫が、ついにそのサイクルから抜けられたこと、その意味について想像すると、猫は幸せや心からの満足感を手に入れたのだろうと感じたから。
この本は平易な文章で書かれていてストーリーもわかりやすいので、対象年齢としては、小学生から読めるでしょうが、メッセージは深く哲学的でもあるので、中学・高校生になっても読み応えのある本ではないでしょうか。
「もし自分が猫のような運命ならどう感じるだろう?」などと想像しながら読むと、いろいろな思いがあふれてくると思います。
ぜひ、オリジナリティある読書感想文を書いてみてくださいね(^^)/
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