なかよしの友達とけんかをしてしまったあとの、気持ちがていねいに描かれた絵本です。けんかで負けたときは、悔しくてなかなか気持ちがおちつかない時ってありますが、そんな感情がこれでもかと伝わってきます。
けんかに負けたほうと勝ったほうでは、お互いの気持ちはぜんぜんちがうわけで、相手の気持ちを考えることの大切さを教えてくれます。
読書感想文コンクールの課題図書にも選ばれた作品で、感想文の宿題にもぴったりです☆
本記事では、この絵本のサクッとわかるあらすじ・感想文をご紹介しています。ぜひご覧になってみてください(^^)/
「けんかのきもち」あらすじ
たいは、毎日おとなりの「あそび島」で遊んでいる。一番の友だちはこうただ。
みんなでギョウザを作ったその日、ふたりはけんかをした。こうたはびくともしない。「もういやだ」というと、こうたはぼくのかたをどつき、けんかを終わらせた。ぼくは尻もちをつき、くやしくて泣きながら帰った。お母さんに抱きつくと、もっと泣いた。
だけど泣きたい気持ちは、なくならない。あそび島のあいこ先生が、いきなり玄関にやってきた。ギョウザのおさそいだった。ぼくが意地をはっていると、お母さんと先生は出かけてしまった。お母さんを呼びもどそうと玄関に出ると、みんなが「ギョウザを食べよう」といってきた。 わっ、やだ、いくもんか! そう思ったとき、こうたのでっかい「ごめんな!」がきこえた。ぼくは急いで玄関の戸をしめた。 「そんなこと いうな。けんかの きもちは おわってない!」 ぼくはまた、たくさん泣いた。おかあさんは、ぼくとこうたが作ったギョウザを持って帰ってきた。食べると、もう涙は止まっていた。
けんかのきもちが、終わった。 お皿を返すため、きんちょうしてあそび島に行くと、こうたが謝ってきて、ぼくはちょっと照れた。 でも こんどは きっと ぼくが かつ。 |
というわけで、あらすじを見てきましたが、けんかの気持ちが生まれて終わるまでがていねいに描かれています。何かのひょうしにけんかをしてしまうのは、小さい頃はしかたがないことかもしれません。その後、相手がどんな気持ちなのかを想像することが大切というメッセージが伝わってくるように思います。
作者の柴田愛子さんには、いろんな作品があるのでこの本が気に入ったら、他を読んでみるのもおすすめです📖
「けんかのきもち」読書感想文
最後のページで、どきっとする。
「こんどはぜったいにぼくがかつ」
最初はみんなと仲良くギョウザを作っていたのに、突然ケンカしだす、たいとこうた。勝ったこうたはたいに謝る。しかも二回。
だけど、たいは謝ってきたこうたに対して、一度も「いいよ」だとか、「ぼくもごめん」だとか、そういう言葉を返していないのだ。たいは、こうたとまたケンカする機会を待っているのかもしれない。
たいの最後の言葉には、男の「意地」を感じた。負けて、仲直りして、はいお終い、ではないのだ。もちろん女の子にもプライドのある子はいるだろうし、仲直りだけでは済まないこともあるだろう。この意地って、なんなのだろう。もしかすると、「恥ずかしい」という気持ちから自分を守るための盾なのかもしれない。自信をなくしてしまわないように、強気でいつづけようとする。
「ケンカ」と聞くと、「弱肉強食」だとか「戦争」だとか、物騒な言葉を思い浮かべる。意見の交換やふとしたことから言い合いになり、いつのまにかケンカになっている。「どっちがすごいのか、正しいのか」と力の比べっこをする。お互いのことや自分のことが認められないと、ケンカになってしまうのかな。
たいは、またこうたとケンカになったら、絶対に勝つと決めている。わたしだったら、どうするだろう。ケンカりょうせいばいという言葉があるけど、ケンカするのには、両方に原因がある。ケンカしそうになったなら、その子とどううまくやっていこう?
わたしはいまでも、家族や友だちと、たまにケンカになる。そういうときは意地をはらないように気をつけている。相手にも意地をはらないように相談したり、お願いしたりする。
次にケンカした時のことを考えるのではなく、もうケンカにならないように、みんなでどうしていくのがいいのかな。そんなことを考えていけるような大人になりたい。
「けんかのきもち」読み聞かせ動画
ストーリーが素晴らしいのはもちろんですが、このダイナミックな絵もいいですよね。力強くてどこか荒々しい感じが、このお話にとてもよく合っているように思います。
動画の2分くらいからのページ、とっくみあいのシーンはとくに迫力がありますし、絵本の世界へとぐいぐいと引き込んでいってくれる絵が魅力的ですね。
絵を描いているのは伊藤秀男さん。他にも「せつぶんのおに」「おにぼう」などたくさんの絵本があります。表紙を見るだけでも絵のパワーがすごく伝わってきますよ👀
まとめ
「けんかのきもち」のあらすじ・読書感想文をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
子どもの頃に仲良しの友達とちょっとしたことでけんかをしてしまって、何日もいやな気持をひきずってしまう・・・そんなことって多くの人が経験していますよね。
そのときに、どんなふうに相手に接するかが大切だと教えてくれる一冊です。やはり、こうたのように謝ること、たいのようにそれを素直に受け入れること、これが大切なんでしょうね。
感想文を書くときのポイントとしては、
けんかした後、自分だったらどうするか?
ということを書くとすらすら書けると思います。さらに、一歩深めて”そもそもけんかをしないようにするにはどうすればいいか?”というテーマで書くのもおすすめです(*^^*)
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