「トロッコ」あらすじ・読書感想文|最後の場面が作者の一番伝えたいこと?

感想文
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芥川龍之介の短編「トロッコ」は、中学校の教科書にも載っていたりして、感想文の題材にも適した小説です。

 

8歳の少年がいつも過ごす子どもの世界から、大人の世界へと一歩踏み出したときの様子が描かれた物語です。大人の世界は子どもからこんな風に映っているというのがよく表れていて、”私も似たような感覚だったな”と共感しやすいのではと思います☆

 

本記事では、「トロッコ」の

  • あらすじ
  • 読書感想文

についてご紹介しています。感想文を書く際のヒントになれば幸いです。とくに、最後のシーンが印象に残るお話です。作者のいちばん伝えたい内容はここなのではないかと感じるのですが、あなたはどう思いますか。

ぜひ、ラストの良平の気持ちを想像して、感想文に取り入れてみてはいかがでしょう☺

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あらすじ

主人公の良平が8歳の時に、小田原と熱海の間に鉄道を作るための工事が始まった。良平は面白がってそのトロッコで土を運搬する工事の様子を見に行った。トロッコを使って工事を進める土工に良平はなってみたいと思ったのである。せめて、土工と一緒にトロッコに乗ってみたいと思ったのだ。

 

ある日の夕方、良平は弟と弟と同い年の子どもとトロッコの置いてある村外れへと行った。土工の姿が見えない事をいいことに、三人の子どもはトロッコを押して坂を登って行った。もうこれ以上押せないという所まで来た三人はトロッコに飛び乗ったのだった。そのトロッコが風を切り駆け下りていく様子は、良介を有頂天にさせたのだった。

そして、またトロッコを押し登ろうとしたときに、三人の後ろから怒鳴り声が上がった。

「この野郎! 誰に断ってトロに触った?」

季節外れの麦藁帽を被った背の高い土工がそこには佇んでいた。

 

慌てて逃げ去った良平だったが、またしばらく経った後に、良平はたった一人で再び工事場へとやって来たのだった。工事場でトロッコを押していたのは、二人の若い男だった。親しみやすさを感じた良平は、彼らに近寄りトロッコを押そうか、と声をかけた。二人は快くお願いするように返事を返し、良平は二人と一緒にトロッコを押し進めることになる。

 

しばらく進むと茶屋があり、土工の男二人はその茶屋へ入りくつろぐが、良平に帰ってよいという事はなかった。二度ほど茶屋へ立ち寄り、日が暮れそうになったその時、土工の男は無造作に良平にもう帰っていいぞ、と言ったのだった。良平はここまで来た道を一人で歩いて帰らなければいけないという事に呆気にとられ、泣きそうになったのだった。

 

一つお辞儀を土工にすると、良平は来た道を駆けて戻った。そして泣きながら一生懸命走った後に良平は自分の家にたどり着いた。たどり着くなり良平はわっと泣き出したのだった。そして良平が26歳になった時に、妻子と一緒に東京に出てきた良平だったが、それでも時折その時のトロッコの事を思い出すことがあるのだった。疲れた彼の前にはその時のように薄暗い藪や路が細々と一すじ断続している。

読書感想文

 

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幼い時の思い出と言うのは、どうしても忘れることができないものがあったりする。そして、時折ふとした拍子にその思い出がよみがえる瞬間がある。それが作中の良平にとっては8歳の時のトロッコの思い出だったんだろうと思う。

 

普段の自分の生活に無かった工事という出来事が始まったことは良平にとって刺激的なものだったのだろう。しかもその工事に使われるトロッコが幼き良平にとっては、とても興味深いものだったのだ。傍から見ているだけでも面白そうなそのトロッコの様子を、もっと近くで見たいと思った良平の気持ちはどこか私にも分かる気がする。夕方にこっそりトロッコ押して坂を登り、坂から急激に駆け下りる体験は、とても楽しいにちがいない。

 

またトロッコに乗りたいと思った良平の元へ、背の高いいかにも怖そうな土工の男がやって来て怒鳴り声を上げるわけだが、この土工は実はとっても優しいのだと私は思った。年端もいかない8歳や6歳くらいの子どもがトロッコで遊んでいたらいつケガをするかも分からない。だからこの土工は怒鳴ったんだと思う。しかし、怒られた良平達は勿論一目散に逃げてしまうわけだった。

そして、しばらく日にちが立った後に、良平は再びトロッコのある工事場へとやってくる。今度は昼にやってくるというのは、きっと良平の悪巧みなのではと私は邪推してしまう。こっそり乗って怒られてしまったなら、今度は手伝わせてくれそうな人達と一緒に居れは堂々とトロッコに乗れるのではと考えたのだろう。そしてその通り、良平は優しそうな男二人に手伝わせてもらうことになった。最初はいつまで押させもらえるか、いつまでも押していたいという気持ちだったが、思った以上に長い時間トロッコをさわっていられた。だが、ふと良平はいつになったら帰れるのかを考えだす。ついに日が暮れかける頃になってから、土工たちに「もう帰っていいぞ」「親御さんが心配するだろ」と言われた。ここへきて帰らなければいけない事に呆気にとられそして、泣きたい気持ちをこらえながらも一つお辞儀をして、走ってその場を去った良平だった。

 

私がもし同じような立場で同じようなことを言われたらどうだろう。自分がここまで三人で力を合わせて進んできたとてもつもなく遠い道のりを、しかも暗くなってきている道中を、一人で歩いて帰らなければいけない。そんな事を考えたら、とてもとても心細い事だと思う。きっと土工たちは良平の最初のいつまでも押していたいという気持ちを汲んでくれていたのだろう。そんなに悪意があっての行動ではないと思うのだが、ちょっと帰るように伝えるのが遅かったかなとは思った。

 

泣きたい気持ちをこらえながら、一生懸命帰りの道のりを走って帰る良平。もらった菓子も捨て、草履も脱ぎ捨てて走る。更には着ていた着物も脱ぎ捨てて走る。それだけ必死に走って、命だけでも助ければと思うほど彼は心細く不安だったのだと思う。そしてようやくよく知った街にたどり着き、家に帰るなりわっと泣き出してしまうわけである。この時に周りの大人たちが心配になり理由を尋ねるが、それに答えないのは彼なりの意地だったのではないかと思った。

 

26歳になった良平は、妻子を持ち東京に出て雑誌社で校正をしていた。土工とは全然違う仕事を始めたわけだが、それでも時折トロッコに乗ったことを思い出すことがあると書かれている。これは、きっとあの一人必死に走ってかけた帰り道の事だけでなく、背の高い土工に怒られたことも全て含めてだと思うのだが、特に走って帰ったあの帰り道の心細さや、先の見えない不安感はまるで人生の未来の見えない感じと重ねているのだろうなと感じた。きっとこれから先も、良平がそう言う局面に立ち会った時、思い出すのではないかと感じた。

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「トロッコ」あらすじ・感想文まとめ

芥川龍之介の「トロッコ」のあらすじ・感想文について見てきました。何とも最後の終わり方が重く暗い印象を残しますよね。

この描写はなんだか余分な気もするという人も多いかと思います。私も中学生の時は違和感がありましたが、大人になって読むとなんだか妙に納得できます。良平と同じように、何が起こるかわからない将来に対して、不安などのマイナス感情を抱いているからでしょう。

子どもの頃にこの感覚をわかるのは難しいとは思いますが、作者が伝えたいことはきっとこの感覚なのだろうと思います。

 

最後の場面を除いては、とても読みやすい小説です。子どもが大人の世界へと勇気を出して足を踏み出す冒険もののようなお話で、感想文もこのあたりを中心に書くのがおすすめです☆

でも、もしも、ラストのシーンで何か感じることがあるのなら、そこを想像しながら書くことで一段と深みのある内容になると思います(^^)/

芥川の他の作品についてはこちらでまとめていますので、よければご覧になってみてください👀

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