『二分間の冒険』は1991年に出版された傑作ファンタジーです。夏休みの感想文の宿題で読まれることも多くて、題材としておすすめの一冊です☆
タイトル通り、2分間の冒険の物語なんですが「本当に2分間!?」と思ってしまうくらい濃密な内容!
別世界に迷い込んだ主人公 悟が、竜と戦い”一番確かなもの”を見つけるという壮大な物語になっています。
本記事の内容は、「二分間の冒険」の
- 簡単なあらすじ
- 読書感想文
となっています。あなたの読書、感想文の参考になれば幸いです♪
あらすじ(ネタバレ)
六年三組のみんなで映画会の準備をしていたとき、悟はかおりが見つけたとげぬきを、保健室に届けに行くことにした。
作業をさぼるつもりだった悟は、先生に「二分以内に戻れ」と釘を押され、保健室の近道に向かった。
すると一匹の黒猫が、悟の頭の中に話しかけてきた。黒猫の見えないトゲを抜いてやると、悟は知らない世界に飛ばされる。 元の世界に戻るには、黒猫から別の姿になっている「ダレカ」を、捕まえなくてはならない。「ダレカ」はこの世界で一番”確かなもの”になっていると言う。一番確かなものって?
暗い森の中で見えた明かりにのほうに行くと、広場に子どもたちが集まっていた。 子どもたちがかおりと悟を残し去ってしまうと、悟は驚愕の事実を知らされる。竜の館に行くのは、竜のいけにえとなる子どもなのだという。かおりにさとされ、悟は二人で竜の館に向かうことにした。
険しい道のりを越えると、一つの小屋があった。 二人は疲れた体を癒すと、老人から竜の館に行くのは竜と戦うためだと知らされる。悟とかおりは、選ばれた者しか抜けないはずの剣を石から抜き取り、勇気を胸に竜の館へと出発した。
竜の館には、たくさんの子どもたちが集められていた。竜に挑戦する順番が決められ、子どもたちは謎かけ勝負・力勝負をしていくことに。悟とかおりは四番目となった。 二人は、最初の子どもたちが竜に挑むとき、自分たちも参戦しようとした。しかし、なぜだか剣は折れてしまい、最初の子どもたちは竜の息で老人にされてしまった。
誰も、選ばれたものなどではなかった。みんな、悟とかおりと同じようにそそのかされて、竜の館に送られてきたのだ。 そこで、悟は他の子どもたちに声をかけ、作戦を練った。みんなで力を合わせて竜を倒すのだ。失敗して老人にされてもその失敗を次の勝負に活かす。希望をつないでいく子どもたち。挑戦を重ね、子どもたちはとうとう竜を倒した、そのときだった。
竜は語り出した。 この国の若者をみな老人にするよう仕向けていたのは、竜の館の館長をよそおっていた、この国の王その人だったのだ。 竜は倒れながら叫び声をあげると、王と老人たちのいた館ごと、崩れ落ちた。
だが、悟はまだ帰れなかった。「ダレカ」の正体を見つけなければいけないからだ。その夜、悟はかおりが「ダレカ」なのではないかと話を持ちかけたが、そうではなかった。 「ダレカ」は、悟自身だったのだ。 悟は決めた。自分で元いた場所に、帰るために。今いる世界は消えてしまうけれど。 「ダレカ、つかまえた!」
元の世界に戻った悟がダレカと別れると、ふいに後ろから声をかけられた。かおりだ。だが、あの世界のかおりとは、別のかおりだ。 シートの下から見つかったとげぬきは、かおりの持ち物だったらしい。悟のことを、からかおうとしたのだ。 「保健室へいってないなら、あんたいままでこんなところでなにしてたの」 「ダレカとあそんでたんだ」 だれかってだれ?と聞いてくるかおりに、悟はいつか話すよ、と笑わずにいった。 「ずいぶんもったいぶるじゃない」 「そりゃそうさ。だってそれを考えるのに、二分間もかかったんだもの」 |
読書感想文
「学校では、ためになる映画を上映するんだ」というお話は、よくわかるけれど、悲しい意見だなとも思う。
ゲームや漫画は娯楽、という考え方なのかもしれないけれど、実際そんなことを言っている人たちだって、昔見たそういうものから、今につながる何か大切なものを得ているのではないだろうか。
読みやすい形にされた漫画版の偉人伝だとか、学校の保健室にも置かれているような病気の説明書だとか。
「ためになる」の基準は、人それぞれだ。みんながみんな、一つのものを「面白い」とか「ためになる」と感じるかは、わからない。
そんな、価値観の違いが、このお話の「ダレカ」につながるのかなと思う。
黒猫のダレカは、悟にこの世の二分間を、別の世界のうんと長い時間に変え、プレゼントしてくれた。
悟は、冒険する中で、様々な価値観に出会う。
学校がなく、なぜか村しかない。
何を教えられたわけでもないけれど、こうしたほうがいいと思うことがあると、その通りにやってみる。
これだけ違う価値観の世界で、はたして冒険できるだろうか?と思ったが、わたしが住むこの日本の外には、実際にこの価値観で生きている人たちは、たくさんいるのだということを思い出した。
魔法を使える竜と契約した王は、若者の活力を恐れて、竜に若者を老人に変えるための戦いをさせるようにしていた。
自分の地位を、守るためだ。
この王様に限らず、大人も、大人にだけではなく、自分の子どもや若い人たちのことをうらやましいと思うのだろうなと感じた。
若くていいわね、お肌がきれいね、なんてよく言われたりもするが、自分はそんなことを考えたこともなかったし、この年だとそんなものなのかなと思うくらいだった。自分が気にしていることは、周りの人に鏡のように映し出されるのかもしれない。
ダレカが自分自身だったとわかったとき、ああそうかなあと、わたしも悟と同じく半信半疑になった。
自分は、どこか不確かで、でも確かに自分なのだ。
自分のことを信じられるのは、やっぱり自分自身なのだということだ。何かに挑戦するとき、相手を信じようとするとき、そんなときでさえも、自分は自分のことを信じて、動こうとしている。
わたしはときどき、楽器を演奏する。大勢の人の前で楽器を演奏しようとしたとき、わたしは今までの努力を思い出し、成功する自分だけを強く思い浮かべるようにしている。みんなに素敵な演奏をいま、届けられるダレカは、自分自身なのだと、知っているからだ。
誰かに背中を押してもらえることももちろんすてきなことだけれど、わたしは悟のように、自分で決めて、自分の道を歩んでいきたい。
ひとりでもいいけれど、悟にとってのかおりのような誰かとそれができるなら、もっといい。
まとめ
以上、『二分間の冒険』のあらすじ・読書感想文の例文でした。
子ども向けのお話なので、冒険をメインにどきどきわくわくできる内容になっているけれど、”一番確かなもの”というちょっと難しめなテーマがあるのが、奥深いですよね。
読書感想文の内容を深めたいときは、この”一番確かなもの”についてしっかり書くと、より素敵な感想文ができると思います。例文が少しでも参考になれば嬉しいです☺
この本の作者 岡田淳さん、たくさん児童書を出されているのですが、こちらの本もおすすめです♪
また、簡単な”感想文の書き方”についてはこちらでまとめています☆あわせてご覧になってみてください♪
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