スピッツ「チェリー」歌詞の意味を考察!ラブソング以外の解釈も

音楽

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スピッツの代表曲「チェリー」、1996年4月に発売されたこの曲は、時代を超えていつまでも愛される不朽の名作ですよね。

始まりを感じさせる、春らしく明るい曲というイメージですが、実はちょっと悲しい意味も歌詞に込められているような解釈もできるんです。

本記事では、チェリーの歌詞を考察して私なりの解釈をご紹介します。より深くこの曲を味わいたいというあなたは、ぜひご覧になってみてください♪

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スピッツ「チェリー」について

始めに簡単に「チェリー」について、発売日や売上げ枚数など基本的な情報をご紹介します♪

 

  • 発売日:1996年4月10日
  • 作詞・作曲:草野正宗
  • プロデュース:笹路正徳、スピッツ
  • B面:バニーガール

 

発売は1996年とかなり前の曲ではありますが、今でもまったくなつかしさ・古さを感じさせませんよね。当時は爆発的にCDが売れ、ミリオンセラーを達成しました。ランキングをチェックすると、

 

  • オリコンランキング:週間チャート最高1位、1996年度年間4位
  • 売上枚数:約160万枚

 

となっています。スピッツの最大ヒット曲である「ロビンソン」に次ぐ売り上げを記録しました。その後も、学校で合唱曲として歌われたり、世代を超えた曲になっています。

「チェリー」歌詞を考察!込められた意味とは?

チェリーをまず聞いてみて連想するのは、「旅立ち」「始まり」「春」などの言葉ではないでしょうか。

だからといって、「さあ、新しい気持ちで頑張ろう!」といった爽やかな歌詞でもないのがスピッツ的なところ。歌詞を読んでみると、どこか重たさを感じてきませんか?

👉チェリー 歌詞

 

ラブソングであることは間違いありませんが、解釈の仕方によっては、スピッツ自身のことを歌っているようにも聞こえます。まずは、ラブソングとしての解釈をしていきたいと思います♪

ラブソング(失恋・別れ⇒旅立ち)としてのチェリー

歌詞の内容をぎゅっと一文に凝縮してみると、こんな感じになるでしょうか。

 

”くすぐりあって転げた日には二度と戻れない、騒がしい未来が僕を待ってるから、少しだけ眠い目をこじ開けて、それでも進んでいこう”

 

と、どこか重さを感じる歌なんですよね。なぜちょっと重力を感じるのでしょうか?

そのヒントとなるのが、草野さんがこの曲を思いついたシチュエーションについて語っていた内容です。

自転車に乗ってる時に浮かんだメロディなんです。自転車に乗るのなんてひさしぶりだったからやっぱ学生の頃のことととか思いだしちゃって、その青い感じかもしれない(笑)

チェリーを聞いて、青春、初恋のような印象を持つのはそのせいかもしれませんね。

ただ、一方でこうも発言されていました。

それを28歳の人間が振り返りつつという(笑)

※インタビュアーの「初恋っぽい恋愛感情を反映してるのですか?」に対する答えとして発言

 

つまり、28歳の草野さんが学生時代を振り返っているようなイメージで書かれた歌詞なんですね。

そういったことを踏まえて、ここからは具体的に歌詞のフレーズについて見ていきましょう♪

 

まず一番から。初めのフレーズが印象的です。

君を忘れない

いきなりインパクトありますよね、二度と戻れないとわかっている過去を思い出しつつも、僕は

騒がしい未来が僕を待ってる

と、未来へと意識を切り替えます。しっかりと歩んでいこうという力強い意志を感じます。

そして有名すぎるサビのフレーズへ続くわけですが、ここでちょっと気になったのが、

ささやかな喜びを つぶれるほど抱きしめて

の部分です。喜びを抱きしめるという表現は普通ですが、”つぶれるほど”とはどういうことなのでしょうか。

 

「過去の君との楽しかった思い出をつぶれるほど抱きしめて、新しい未来へと旅立とう」というのは、考え過ぎでしょうか?または、素直にこれから先に起こるささやかな喜びを大事にしようといったことかもしれません。

続いて2番の歌詞を見てみましょう。

まず登場するのが”こぼれそうな思いが書かれた手紙”です。しかも、汚れた手で書きあげてる手紙で、すぐに捨てて欲しいものでもあるのです。君への思いが書かれている手紙なのでしょうね。

”汚れた手””捨てて欲しい”というところが、スピッツ的だなぁと感じます。こんな風に、マイナスなフレーズを入れて、綺麗な事ばかりじゃないぞというニュアンスを出してくる傾向は、多数の曲で見られます。

 

1番同様、過去のことを振り返りつつも、未来へと意識は向かっていきます。ただ、

少しだけ眠い 冷たい水でこじあけて

という部分に、何やら足取りの重さを感じます。それでも、てくてく進んでいくぞ!というような。

おそらく、今でも君へ好意はあるものの、何か訳があって別々の道を歩んで行かなければいけない状況なのでしょう。

進路、引越しなど春は出会いと別れの季節。聴く人の状況に合わせて、いろんな解釈ができますよね。

 

そして、2番のサビを挟んで続くのが、こちらのフレーズです。

どんなに歩いても たどりつけない 心の雪でぬれた頬
悪魔のふりして 切り裂いた歌を 春の風に舞う花びらに変えて

とても意味深な歌詞ですよね。

”心の雪でぬれた頬”というのは、”君”なのか”僕”なのかどちらにも取れると思います。この頬は、

  • 僕に何かしらの悲しい思いをさせられた君のことなのか?
  • 君との別れを悲しんでいる僕のことなのか?

どちらにせよ、もう過去には戻れないと。そして、そんなマイナスな過去を、春の風に舞う花びらに変えて、新しいスタートを切る!という意志が滲みでています。

 

そして、いよいよラストへと続きます。ここで、今までのフレーズがもう一度歌われます。唯一、新たに入ってくるフレーズがこちら。

ズルしても真面目にも生きてゆける気がしたよ

前向きなサビの中にも、しれっとこんなフレーズを混ぜてくるのもスピッツらしさと言ったところでしょうか。でも、これはきっとそうなんだろうな~と変な説得力を感じます。

スピッツ自身の歌としてのチェリー


チェリーは、スピッツのことを歌っているのではないか?と受け取ることも可能です。それは、この曲が発売された当時のスピッツの状況をふまえると、見えてきます。

1995年4月5日 :「ロビンソン」発売

1996年1月  :ドラマ「白線流し」開始

タイアップ曲「空も飛べるはず」ミリオンセラー

1996年4月10日:「チェリー」発売

「ロビンソン」で大ブレイクを果たし、さらに1994年発売の「空も飛べるはず」がドラマ主題歌になり、大ヒットします。まさに、スピッツの知名度がぐんと上がった頃で、バンドとしてとても重要な時期でした。

そんな中、リリースされたのがこの「チェリー」でした。

 

そう考えると、チェリーの歌詞がスピッツの新たな始まりを描いているようにも感じます。大ブレイクしてちやほやされる中で、「しっかり地に足をつけて歩いていこう」という、スピッツの新たな旅立ち・強い決意を感じ取れます。

 

そこで、思い出されるのがスピッツのメジャーデビュー曲である「ヒバリのこころ」です。

この曲も、新たな始まりを感じさせる歌詞という点では「チェリー」と似ていますね。

僕らこれから強く生きていこう

など、とても力強い歌詞が出てきます!メロディこと静かですが、強い気持ちがこもっている1曲です。

👉「ヒバリのこころ」歌詞

といったわけで、「チェリー」はスピッツの歌であるとも解釈できます。

「チェリー」をカバーした歌手

チェリーは多くのアーティストによってカバーされ続けています。それぞれの個性がキラリと光っていて、どれも聴きごたえがあります。

「チェリー」をカバーしている歌手

  • POLYSICS (2002年『一期一会 Sweets for my SPITZ』)
  • PUFFY (2002年『THE HIT PARADE』)
  • つじあやの -(2004年『COVER GIRL』)
  • 東京60WATTS -(2006年『clover』)
  • キンモクセイ -(2007年『さくら』)
  • tangerine. -(2008年『FLAVOR BOSSA CASE SAKURA』)
  • 伴都美子 -(2008年『VOICE 2〜cover lovers rock〜』)
  • BENI – (2012年『COVERS:2』)
  • 福山雅治 – (2015年『「魂リク」』)
  • グッバイフジヤマ

※上記は一例で他にも多数の方によってカバーされています。

とくに、私が印象的だと感じたのはグッバイフジヤマです。

何と彼らのデビュー1stシングルでもあり、スピッツのディレクター竹内修氏がプロデューサーを務めているんです!彼らの尋常じゃないほどのスピッツ愛を感じませんか🍒

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まとめ

「チェリー」の歌詞の意味について見てきましたが、いかがでしたでしょうか。ここでポイントを簡潔に振り返っておきたいと思います。

チェリーの概要

  • 1996年4月10日発売
  • 売上枚数 160万枚
  • カバーしているアーティスト多数(グッバイフジヤマetc)

チェリーの歌詞分析

  • ラブソング(失恋⇒旅立ち)
  • スピッツ自身を歌った歌詞

”風景”を描写する歌詞が多めだった草野さんですが、「チェリー」は”意志”や”決意”といった目に見えないものの描写が目立ちます。

新たな門出を力強く高らかに歌ったチェリーの歌詞は、普遍的で多くの人に当てはまる世界観だと言えます。

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だからこそ、こんなに時代を超えて歌い継がれるのではないでしょうか。

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