人気作家 京極夏彦さんの京極堂シリーズ最新刊を心待ちにしている方も多いのではないで
しょうか。
私も京極堂(百鬼夜行)シリーズのファンで喉から手が出る程読みたいと願っている1人です。あまりに出ないので、何度かシリーズを再読しております。あんなに分厚いのに読んでしまうんですよね。
2006年発売の「邪魅の雫」以来、現在まで最新刊が出ないのは、不思議です。「この世に不思議なことなどない」とは思うのですが、いったいどういう理由なのでしょうか。最新刊のタイトル「鵺の碑(いしぶみ)」という情報は、何年も前から明らかになっているのに・・・
今回は、京極夏彦さんの新刊「鵺の碑」が発売されない理由は何なのか?2019年には出る
のか?考えていきたいと思います。
今まで出版されている百鬼夜行シリーズ
最新刊が出ない理由の前に、ここで百鬼夜行シリーズの既刊情報のおさらいを。
- 『姑獲鳥の夏』 1994.09
- 『魍魎の匣』1995.01
- 『狂骨の夢』1995.05
- 『鉄鼠の檻』 1996.01
- 『絡新婦の理』 1996.11
- 『塗仏の宴 宴の支度』 1998.03
- 『塗仏の宴 宴の始末』 1998.09
- 『陰摩羅鬼の瑕』 2003.08
- 『邪魅の雫』 2006.09
これとは別に、シリーズの登場人物たちを主役にした短編小説集も出ています。
- 『百鬼夜行 陰』 1999.07
- 『百器徒然袋 雨』1999.11
- 『今昔続百鬼 雲』2001.01
- 『百器徒然袋 風』2004.07
- 『百鬼夜行 陽』 2012.03
そうなんです、「邪魅の雫」以降、長編小説は出ないのですが、短編集である「百鬼夜行
陽」は出版されているのです。しかも、この中に収められている『蛇帯(じゃたい)』という作品の主人公は、鵺の碑の登場人物 桜田登和子のお話なんです。
鵺の碑が出版されない理由を探る
サイドストーリーである短編集が発売されているということは、やはり鵺の碑が出ないの
は不自然です。
京極夏彦さんは小説を書くとき、全部プロットを考えてから、一気に書くというようなことを何かのインタビューで仰っていました。だから、鵺の碑が書けてないから、まだ発売されていないということはないと思われます。
そこで、気になるのがあの噂です。京極氏が語ったことではなくあくまでネットを中心とした噂ですが、、、
鵺の碑には、東北の核(原発?)について触れている箇所がある
と言われています。鵺の碑というタイトルは遅くても2006年には発表されていましたので、構想はそのくらいには出来上がっていたはず。2006年とした理由は、「邪魅の雫」の講談社ノベ ルスの後カバーの次作の予定にしっかりとタイトルが明記されていたからです。
そして、2011年3月11日の東日本大震災が起こってしまい、核(原発)問題が明らかにな
り、発売延期になってしまった、という推測です。
京極夏彦さんは、「妖怪大談義」という有名作家さんとの対談集を出されています。
養老孟司、中沢新一、大塚英志、保阪正康、小松和彦などそうそうたる方と対談されてい
るのですが、その中の1人、宮部みゆきさんとの対談で興味深い発言をされています。
「本来差別的な意味はない言葉でも、できる
だけ使わないほうがいい言葉、配慮が必要
な言葉はありますよね。
(省略)
言葉狩り云々という人もいるけれど、言い
換えができるなら、どんどん言い換えたほ
うがいいと思うんです」『対談集 妖怪大談義』P129より
といった考えを仰っておられるので、鵺の碑が未だ発売されないのは、何か震災と関わりがあるように想像します。
真偽のほどはわかりませんが、どんな形にせよ京極堂シリーズ最新刊がいつか出ればと、少し期待しておきたいと思います。幸い、京極氏は精力的に活動し本を出版し続けているのでファンとしては、嬉しい限りです。
他作品を読みつつ、静かに待っていようと思います。
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