【要約】「人を説得する十二原則」内容まとめ

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D・カーネギー「人を動かす」から、「人を説得する十二原則」の内容をポイントごとにまとめています。

☑本記事のポイント

「人を説得する十二原則」要約~D・カーネギー「人を動かす」~

  • 議論を避ける
  • 誤りを指摘しない
  • 誤りを認める
  • 穏やかに話す
  • ”イエス”と答えられる問題を選ぶ
  • しゃべらせる
  • 思いつかせる
  • 人の身になる
  • 同情を寄せる
  • 美しい心情に呼びかける
  • 演出を考える
  • 対抗意識を刺激する

章ごとに一言ポイントと要約をご紹介しています。では、それぞれ詳しく見ていきましょう。

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議論を避ける

☑ポイント

  • 議論を避け、相手の重要性を認める。
  • 相手と同じ問題に関心を持ち、解決を目指していると思ってもらう。

 

議論をして相手を負かせると気分は晴れますが、相手は自尊心を傷つけられます。さらに、相手が間違っていたとしても、まず否を認めることはありません。むしろ、溝は深まるでしょう。

忘れてはならない一つの法則がこちら。

「議論に負けても、その人の意見は変わらない」

 

議論ではなく、相互理解を目指すことが大切です。

相手の言い分をよく聞き、まず賛成できるところを探しましょう。まず現れる自分の立場を守ろうとする本能に流されないことが肝要です。もちろん、こちらに誤りがあれば率直に謝罪します。

また、相手が強く反対しても、同じ問題に強く関心を持っていて解決を目指すために意見を言ってくれているのだと考えます。

論敵は味方とも言えるのです。議論を避けて、相手の重要性を認めることで良い方向へと進むのです。

 

誤りを指摘しない

☑ポイント

  • 誤りをそのまま指摘しても、相手の考えは変わらない。

 

他人の誤りを指摘することは、簡単です。

ただ、相手の立場で考えると、これは自尊心に平手打ちをくらわされたようなものです。これでは、相手の考えはまず変わりません。

 

人の考えを変えるには、相手に気づかれないようにすることが重要です。明らかに相手が間違っていてもそのまま指摘せずに、

「私にはそう思えるのだが・・・」

「おそらく私の間違いかもしれませんが、事実をよく考えてみましょう」

といったように、婉曲的な表現で話をすすめるのが効果的です。

 

著者カーネギーのこんな話が載っています。

インテリア・デザイナーに部屋のカーテンを作らせたが、その請求者が驚くほど高かったのです。後日、ある婦人が部屋を訪ねてカーテンのことにふれ「ずいぶんなお値段ね。だいぶ儲けさせたんですよ」と指摘した。その通りなのだが、カーネギーは認めずに「上等だから当然」など大いに自己弁護をしました。

次の日、別の婦人がやってきて、そのカーテンをしきりにほめてくれました。カーネギーの反応は以前とは正反対で「実のところ、ぼられたような気がします。後悔しているんです」と気持ちよく認めたのです。

 

ガリレオは次のような言葉を残しています。

人に物を教えることはできない。自ら気づく手助けができるだけだ。

私たちは、無理矢理に正論を押し付けられるとなかなか認められないものですが、相手の出方が優しくて巧妙だとあっさり認めることはよくあります。

むしろ、自分の率直さが誇らしく感じることもあるのです。相手の意見に敬意を払い、誤りを指摘しないことが、結果的に相手の考えを変えることにつながるのです。

 

誤りを認める

☑ポイント

  • 指摘される前に誤りを認めることで、相手の重要感を満たすことにつながる。

 

自分の誤りをすぐに認めることは、苦しい言い訳をするよりよほど効果があります。他人の批判より自己批判のほうが気が楽と考えると、認めやすく思えるのではないでしょうか。

 

あれこれ指摘される前に自ら非を認め謝ることで、相手の言うことがなくなり、寛大な態度になり許してくれる可能性も出てくるでしょう。あわせて、相手の重要感を満たすことにもつながります。ことわざにも「負けるが勝ち」というように、誤りを認めることの効果は計り知れません。

自分が悪いと知ったら、相手にやっつけられる前に自分で自分をやっつけておいたほうが、はるかに愉快ではないか。

 

穏やかに話す

☑ポイント

  • 穏やかに話すことは、相手の気持ちを動かすことにつながりやすい。

 

相手に腹が立った時、言い負かしてやると胸がすっとしますが、相手はどうでしょうか。当然、こちらの思い通りに気持ちよく動いてくれることはないでしょう。一方、穏やかに語りかけることで得られる結果は大きく変わってきます。

 

例えば、アパートの家賃を安くしてもらいたいと考えている技師の話があります。しかし、他の借家人はみんな交渉に失敗しており、家主ほど扱いにくい男はいないと言っていました。この技師は知恵をしぼり、家賃が高いことはおくびにも出さず、アパートの管理が素晴らしく、できればもう1年いたいなどと、ほめたたえました。

 

家主はこんな歓迎を受けたことがなく、苦情ばかり言う借家人達との対応の苦労話を語りはじめ、「あなたのように話の分かる人がいて、ありがたいです」と語ったのです。すると、何も言いださないうちに、家主のほうから家賃を少し下げようと提案してくれたのです。

 

穏やかに話すことの大切さを端的に伝えてくれるリンカーンの名言がこちらです。

「バケツ一杯の苦汁よりも一滴の蜂蜜のほうが多くのハエが取れる」

 

”イエス”と答えられる問題を選ぶ

☑ポイント

  • 初めに相手から「イエス」をもらう。まずは、意見が一致している小さなことからでOK。
  • 人はいったん「ノー」と言うと、その考えを変えたくなくなる。

 

人は、いったん「ノー」と言うと、その考えをひっこめたくなくなるものです。相手から指摘された場合は特に。この法則を逆に利用し、はじめから「イエス」と言わせる方向に話を持っていくことが効果的です。

まず、意見が一致している問題から話を始め、相手に何度もイエスを言わせます。これを重ねることで、相手をこちらの思うところへ導きやすくなります。

 

銀行で勤めるジェイムズ・エバーソンは、この技術を用いてこんな結果を出しました。エバーソンは預金金口座を開こうとやってきた男の対応をしていました。書類に必要な事項を記入してもらおうとしましたが、男は一部の質問にはどうしても答えようとしませんでした。

もちろん、エバーソンは「記入して頂けないなら、口座を開設することはできません」と言った短絡的で愚かな対応はせずに、イエスと言わせる技術を使い、次のように語りかけました。

 

「答えにくい質問にはしいて答える必要はありません。しかし、仮に預金されたままあなた万一のことがあれば、どうなさいます?法的にあなたに一番近い親族の方が預金を受け取れるようにしたくありませんか?迅速な手続きが取れるように、あなたの近親者のお名前をうかがっておくほうがいいとお思いになりませんか?」

 

相手のための質問だとわかると、男の態度は一変しました。もちろん、すべて「イエス」と答えてくれたのです。

相手が即座に”イエス”と答える問題を選ぶ

 

しゃべらせる

☑ポイント

  • 相手が言いたいことを持っているなら、まずは最後まで聞く。

 

相手を説得するには、相手に喋らせるに限ります。もし、途中で異議をはさみたくなっても、相手が何か言いたいことを持っている限り、何を言っても無駄です。まずは、最後まで誠意をもって聞くことが肝心です。

 

極端な例ですが、あるメーカーの代表者の男が取引先と商談をした時の話を挙げておきます。大事な商談当日、不運にも男は重い咽頭炎にかかっていました。それでも、何とか無理してやってきました。

しかし、話そうにも喉がキーキーと鳴るばかり…。紙に「喉を痛めて声がでません」と書いて伝えると、取引先の社長が「では、君に代わってしゃべってあげよう」と男から見本を取り、長所をほめだした。社長は男の代弁をしてたこともあり、男の味方になったようでした。男は、ただ頷いたり微笑んだりするだけで大きな取引を成し遂げたのです。

相手のことは相手が一番よく知っている。

 

思いつかせる

☑ポイント

  • 相手の意見を尊重しながら、自分の意図したい方向に話を進める。自分の意見を押し付けず、まるで相手のアイデアだったかのように導く。

 

私たちは、人から言われた意見よりも、自分で思いついた意見をはるかに大切にするものです。単に相手に意見を押し付けるのではなく、結論をうまく相手に出させるよう導くことが大切です。

 

デザイナーに下絵を売り込む仕事をしているウェッソンは、この技術を使い結果へとつなげました。デザイナーはいつも会って入念に下絵を見てくれるものの、毎回「どうも気に入りません」と言って、買うことはありませんでした。150回同じ失敗を繰り返したウェッソンは、やり方を変えました。

未完成の下絵を持っていき、「これをどういうふうに仕上げたら、あなたのお役に立つでしょうか」とやったのです。ウェッソンは、いろいろと意見を聞いたのち注文通りに仕上げました。もちろん、結果は全部買い上げとなったのです。

 

他にも、セオドア・ルーズベルト、あるビジネスマンや家族らの事例が紹介されています。

この章のポイントを端的に表している1文を引用します。

相手に相談をもちかけ、できるだけその意見を取り入れて、それが自分の発案だと相手に思わせて協力させるのだ。

 

人の身になる

☑ポイント

  • 相手の身になって考えることで、問題の真の原因がわかる。

 

相手を非難するのではなく、理解しようと努めることが大切です。本当に相手の身になってみてみることで、真の原因がわかり、結果にも同情を寄せられることができます。

 

車のローン支払いが6週間も遅れていたエリザベスという婦人の話をみてみましょう。

ある金曜日、婦人のもとにローン担当の男から「月曜の朝までにお金を用意できなければ、しかるべき措置を取る」と電話がありました。週末のためお金の都合をつけようがありません。そのまま月曜を迎え、早速男から電話がありました。

婦人は、面倒をかけたことを心から謝り、「私のように支払いを遅らせる客は最低な部類でしょう」と言いました。すると、男は「とんでもない」と、嘘をついたり、逃げ回ったりするもっと悪質な客の苦労話を語り続けました。最後に、婦人が頼んだわけでもないのに少し支払いを待ってくれることになったのです。

非難は、どんな馬鹿者にもできる。理解することに努めなければならない。

 

同情を寄せる

☑ポイント

  • 人は同情をほしがる生きもの。
  • 相手の問題の原因をすべて本人のせいと考えず、他に原因があり気の毒だと思ってあげる。

 

人間は、一般的に同情をほしがるものです。災難や病気の話を自らしたり、傷口を見せたり、程度の差こそあれ、自らの不幸を事細かに話す人は多いものです。だからこそ、相手の立場になった発言をすることが大切です。

 

相手がどんなに偏屈で、怒りっぽく、わからずやだったとしても、その原因を全て本人のせいと考えないことがポイントです。いろいろな悩み・障害を抱えており、気の毒と思ってあげるのです。そして、批判やアドバイスをするのではなく、まずこう言ってあげましょう。

「あなたがそう思うのは、もっともです。もし、私があなただったら、やはり、そう思うでしょう」

どんな相手でもこうこられると、案外おとなしくなるものです。著者カーネギーも「相手をやっつけるよりも、相手に好かれるほうが、よほど愉快である」と書いています。

 

美しい心情に呼びかける

☑ポイント

  • 相手を動かしたい時に、できるだけ美しい理由を言う。
  • 美しい理由とは、母や子の愛情を呼び起こすような良心に訴えかけるもの。

 

相手の考えを変える時に「○○だから、□□してほしい」と理由を言って納得してもらう方法が定番です。しかし、ここで真実そのままの理由を言うのではなく、美しい理由を言うのが鍵です。

 

例えば、ロックフェラー2世は彼の子どもたちの写真が新聞に出るのを防ぐために、「あなた方の中にも子どものある方がいておわかりだと思うのですが、あまり世間が騒ぎ立てるのは、子どもたちにとってかわいそうです」と訴えた。

また、イギリスの新聞業者ノースクリフ卿も、自分の不都合な写真が勝手に掲載されているのを見つけて、取り下げてもらおうと「あの写真はもう掲載しないでいただきたい。母が大変いやがるものですから」と依頼した。

 

どちらのケースも、誰もが抱いている母や子への愛情を呼び起こす美しい心情に呼びかける理由です。

人間は誰でも理想主義的な傾向を持ち、自分の行為については、美しく潤色された理由をつけたがる。

 

演出を考える

☑ポイント

  • 相手に気持ちよく動いてもらうような見せ方を考える。

 

映画、テレビ、ラジオ、ネットなど様々な番組や広告を見ると、演出・見せ方が重要なのがよくわかります。ドラマチックな演出は、メディアを通して以外にも、生活全般のコミュニケーションでもその力を発揮します。

 

ジェイムズ・ボイントンの元に、あるコールド・クリームのメーカーから製品の値下げをすべきか検討するために、市場調査報告書を作成してほしいと依頼がありました。1回目の訪問では、ジェイムズは失敗しました。議論になり、数字の正当性を主張し相手を言い負かせてしまったのです。気持ちはスッとしても商売にはなりませんでした。

 

2回目の訪問は、演出を使いました。カバンから32個のコールドクリームの容器を取り出し、机に並べました。相手の競合企業の製品で、容器にはそれぞれ売れ行き等の調査結果を書いた紙が貼ってあります。相手は容器を順にとり、じっと紙を見ていきます。前回とちがって、大いに話がはずみ、良い関係を気づくことができました。

 

内容は、1回目の調査とほぼ同じでも、見せ方を工夫することで大きな違いが生まれるのです。

事実に動きを与え、興味を添えて演出しなければならない。

 

対抗意識を刺激する

☑ポイント

  • ”人より優れていると思われたい”という気持ちを刺激する。

 

人は、相手より優位に立ちたい・優れていると思われたいといった意識をもっています。この対意識をうまく利用し、生産性を劇的にあげた工場の話があります。

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昼勤の帰り際に「何回、鋳物を流したかね?」と聞き、床に彼が答えた回数「6」と大きく書く。そこにやってきた夜勤の工員たちがその数字の意味を聞いて、作業に入る。翌日、昼勤がやってきたら、床には「7」と書かれていた。あとは、想像の通りですが、どんどん数字が増えていき、工場の能率がぐんぐんと上がっていきました。

 

この方法を実践したチャールズ・シュワッブはこんな名言を残しています。

「仕事には競争心が大切である。あくどい金儲けの競争ではなく、他人よりも優れたいという競争心を利用すべきである」

 

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「人を説得する十二原則」まとめ(D・カーネギー「人を動かす」)

以上、「人を説得する十二原則」の要約を見てきました。

説得するためのいろいろな方法が紹介されていますが、ほとんどの人間が持つある気持ちを利用したものと言えます。

☑ポイント「人を説得する十二原則」

  • 人は”自分が正しい”と思っている。
  • 人は”自分のほうが優れている”と思われたい。

「人を動かす」の中で形を変えて何度も出てくる内容ですね。

人を説得するには、たとえ相手が間違っていても、正論を言って言い負かすことではなく、相手が決断しやすいように導くことが大切。

これを知っていたからと言って、必ず成功するとは言い難いですが、意識しておくにはこしたことはありません。

この続きは、【要約】「人を変える九原則」内容まとめにて解説しています。

【保存版】「人を動かす」要約(全章ごと一言ポイント+内容まとめ)

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