童話作家 岡田淳さんの「びりっかすの神さま」は、学校を舞台にしたわかりやすい設定で読みやすいうえに、とても深いテーマが描かれているお話です。そして、登場する神さまのイラストがユニークなのもポイントです👀
この神さまの正体は気になるところですよね。
”競争”や”成長”などについていろいろ考えるヒントをくれる、読書感想文にぴったりな一冊です☆
本記事では、
- あらすじ(結末まで内容がわかる)
- 読書感想文
をご紹介しています。
感想文を書く際のヒントになれば嬉しいです(*^^*)
あらすじ
転入生の始は、担任の市田先生に連れられ、教室に向かった。七月のなかごろ、お父さんが入院したと思ったら、あっけなく死んでしまった。お母さんは、仕事をがんばって死んだお父さんのことを思い、始にこう言った。
「ひとに勝つってことが、がんばるっていうのとだったら、始、お母さんはあなたに、がんばってほしくなんかないのよ」 先生にうながされ、自己紹介しようとした始は、透明な小さい男が目に入り、言葉を失う。
男と心の声で会話ができるようになった始は、色々なことを知った。男は「びりっかす」といい、クラスでびりの子の近くにいるらしい。そして、その姿を見たのは、始だけだった。始はびりっかすの姿を見るために、わざとびりになるよう努めた。 だがある日、始がわざと遅く走るようにしていたことが、みゆきにばれてしまう。始はわけを話し、みゆきといっしょにテストでびりをとった。すると、みゆきにもびりっかすが見えるようになったのだ。 この輪は、どんどん広がり、とうとうクラス全員でが100点を取り、全員でびりになるという事態になった。
だけど、議論が起こった。それは学級対抗リレーの練習で、最近びりっかすが味わえていない「びりの気分」を味合わせよう、という話から始まった。びりっかすの遠慮をよそに、みんなは協力してびりになった。だけど、そうすることで、「二組で一番遅い清田に、失礼なのではないか」という意見が出たのだ。色んな声が上がる中、始はびりっかすにたずねた。 ――ねえ、びりっかすさん、どう思う?
運動会の日、とうとうクラス対抗リレーが始まった。一組は、見事一位になった。その日、始はお母さんに褒められたが、一番になるために頑張ったのではないと話した。 「本気で走ったってことさ。みんな、本気で走ったんだよ、母さん」
翌日、登校した始に、そっと近よってきたみゆきが言ってきた。 「びりっかすさんが、いないの」 始がどれだけ心の声で語りかけても、誰も返事をしてこない。みんなも、同じような状況らしい。すると、ずっと休んでいた市田先生が、教室に入ってきた。みんなと話し合いをしたいと言いながら、めがねを外したその顔を見て、みんなは驚いた。 「びりっかすさんだ!」 「びりっかすさん……?」 その日は二時間めも学級会になった。新しい座席をどう決めるか、だった。同級生が発言するのをききながら、やっぱりびりっかすさんは神さまだった、と思った。 |
読書感想文例
びりにはもちろん、いいイメージはなかった。
お母さんに、怒られるかも。もっと勉強する必要が出てきたり、塾にでも行く?とか言われるかも。そんな恐ろしいイメージ。だけど、この本はそんな「びりっかす」のイメージをひっくりがえしてくれた。
最初は、始が転入し、教室でみんなにからかわれるところから始まる。そこで、透明なサラリーマンのような姿の、何かを見るのだ。わたしは、小さなおじさんとか、妖精、座敷わらしというのは、みんな幸せを運ぶものだと思っていた。だがしかし、このサラリーマン、果たしてそんな存在なのかな?と、疑問だった。もしかしたら、貧乏神かも。
始は、その男のことをまじまじと見たり、声を心の中でかけるだけだったが、とうとう彼と会話することができるようになった。男も驚く。彼は自分に名前がないと言い、どうやって生まれたのか?から自分の名前を「びりっかす」だと始に伝える。
自分の役割、存在している意味をひもとく「びりっかす」の姿が、なんだか不思議とうらやましく感じた。もしかすると、わたしはまだ自分の役割を探している途中なのかもしれない。
びりっかすと始の心の会話は、みゆきにもできるようになった。始が、みゆきにびりっかすの話をして、一緒にびりをとったのだ。だけどどうだろう。他の子達もどんどんと真似してびりっかすになっていく。これで起きた小さな事件は、市田先生がだんだんとやつれていくところだと思った。お話の中、先生の心は徐々に落ち着きを失っていく。生徒たちの様子がおかしな具合に変わっていくのを見ているからだ。
誰が何を言ったわけでもないのに、急に数人が笑い出したり。みんなして悪い点数を取り始めたり。でも授業は前より真面目に聞いている。見えない世界では、いろんなことが先生の目をかいくぐって起きている。それが見えない先生は、わけがわからず、いろんな妄想をして苦しんでいる。自分がいけないから、こんなことが起こっているんじゃないだろうか。保護者の目だって、気になりだす。しかもひとりならまだしも、複数の生徒がいっぺんにこうだから、学校側からも何か言われるかもしれない。大人は、責任重大だなと、先生から目が離せなかった。
運動会のクラス対抗リレーで、始がお母さんに言ったことが、心に残った。一位になるために頑張ったのではない。本気で走った、というみんなそれぞれの思いだけが、重要だったのだ。
そして最後、びりっかすは消えていなくなる。みんなと先生の離れ離れになっていた心をつなぎとめるきっかけとなったびりっかすは、確かに神さまだったのかもしれない。そう思った始に、わたしも強く共感した。何かすごい、だけど見えない、大切な存在。みんなの思いを一つにしたびりっかすのように、何が大事か?ではなく、「どんな思いが大事か?」をテーマに、これからの生活を暮らしていきたいと思う。
「びりっかすの神さま」あらすじ・感想文まとめ
あらすじ・読書感想文をみてきましたが、いかがでしたでしょうか。
はっきりとした正体が書かれていなかったびりっかすの神さま、不思議な存在です。いろいろ想像がふくらみますよね。最初はなんだか不思議で変なのと思っていたら、ラストにみんなを一つにしてくれました☆
感想文のポイントとしては、
- 勝ち負けよりも、本気を出すことの大切さ
- 物語のはじめとおわりで、始の考え方がどう変わったか?
などについて感じたことを広げていくと書きやすいと思います。もちろん、びりっかすの神さまの正体なども気になるので、そのあたりにふれてもよいでしょう☆
ぜひ素敵な感想文を書いてみてくださいね(*^^*)
ちなみに、この絵本の作者である岡田淳さんは他にもたくさんの名作があります。例えば、
- 『こそあどの森の物語』シリーズ
- 『二分間の冒険』
- 『放課後の時間割』
などなど。
『二分間の冒険』の詳細はこちらで書いてますので、よければご覧になってみてくださいね。
『びりっかすの神さま』が気に入ったなら、ぜひほかの本も手にとってみてはいかがでしょう(*^^*)
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