D・カーネギー「人を動かす」から、「人を説得する十二原則」の内容をポイントごとに整理しています。
☑本記事のポイント
「人を変える九原則」要約~D・カーネギー「人を動かす」~
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章ごとにそれぞれ一言ポイントと要約をまとめています。
まずほめる
☑ポイント
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何か相手に対して指摘したい時も、いきなり本題に入ってはいけません。まず誉めることが大切です。
例として、エイブラハム・リンカーンがフッカー将軍に宛てた手紙が紹介されています。南北戦争時代、国家の命運がフッカー将軍にかかっているともいえる状況で、彼は功を焦る余り、勝手な指揮をし、自国に多大な損失を与えたのです。
明らかに重大な過失がある将軍にさえ、リンカーンはしっかりとほめてから、本題に入っています。ほめることの重要さがよくわかる参考になる内容です。
我々は、ほめられたあとでは、苦言もたいして苦く感じないものだ。
遠まわしに注意を与える
☑ポイント
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直接、注意をされると誰だって少しは不快な気持ちになるものです。人によっては、強く反発してくることだって有り得ます。そんな時に、役立つのが遠まわしに伝えることです。
例えば、「禁煙」と看板が出ている場所で喫煙する人達に注意をする場合、「さあ、皆で外で吸ってきたまえ」と言う話があります。言葉では明確に批判も注意をせず、相手の顔を立てて、よくないことだとほのめかすのがポイントです。
自分の過ちを話す
☑ポイント
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誰かに注意や小言を言う必要がある時、「自分も間違いが多く完全というわけではないが・・・」と前置きをした上で言うと、相手はそこまで不快に思わず聞いてくれるものです。
例えば、息子にタバコを吸わせたくない時に両親(2人とも喫煙者)はどう注意すべきでしょうか
もちろん、体に悪いからなどと言っても説得力は全くありません。そうではなく、「軽い気持ちで吸い始め、ニコチンの虜になりやめれなくなってしまった。どんなに咳に悩まされてるか見ているだろう」と語るのです。
煙草の誘惑に負け、大きな損をしたと自らの過ちを話すことが、人を説得するのに大きな効果を生みます。場合によっては、これだけで充分相手の考えを変えることが可能となるのです。
まず、自分の誤りを話したあと相手に注意する
命令をしない
☑ポイント
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命令をせずに「ここをこうするともっとよくなるかもしれないが、どうだろう」といったように、相手の自主性に任せる方法をとることで、相手の自尊心を傷つけずに、伝えることができます。
明らかに相手に非がある時にも、このことを忘れてはいけません。
例えば、駐車禁止の所に車を停めている人に「あの車をどけてくれたら、他の車の出入りが楽になるんだが、どうだろう」と言った具合に。「車をどけろ!」と言いたくなるかもしれませんが、こう言ってしまうと、あとにしこりを残し、人間関係に悪影響を与える可能性が大いにあるので、注意したいところです。
決して命令はせず、自主的にやらせる。
顔をつぶさない
☑ポイント
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相手の顔を立てて、一言二言でも思いやりの言葉をかけることは、とても重要です。特に、印象的なエピソードを紹介します。
アンナ・マーゾンという女性は入社以来初めての大仕事(新商品のテスト販売)を任せられました。その結果を発表する会議の直前、テストのやり直しが必要であることに気づきます。企画段階でミスがあったのです。
そして、部長にも相談できぬまま、会議が始まりました。アンナは泣き崩れそうになるのをこらえながら、自分のミスで再度調査をする必要があると手短に説明しました。
部長の怒りの言葉を待っていると、、、「新しい企画にミスはつきもの。最善を尽くして失敗したのは、能力不足ではなく経験不足から。次回の調査が有意義なものになると確信している」と労をねぎらい、期待してくれたのです。その後のアンナの働きぶりは言うまでもありません。
作家のサンテグジュベリにこんな言葉があります。
相手の人間としての尊厳を傷つけるのは犯罪なのだ。
わずかなことでもほめる
☑ポイント
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犬に芸をしこむときに、少しでもうまくやれば、なでたり肉をやったりと大げさにほめてあげるものです。しかし、人間に対してこのように対応する人は少ないのではないでしょうか。子どもの間違いをしかりつける親、部下のミスを指摘する上司、などなど。
この章では、不遇な子ども時代にほめられたことで人生の転機を迎えた偉人達エンリコ・カルーソー、チャールズ・ディケンズ、H・G・ウェルズなどのエピソードが紹介されます。
批判によって人間の能力はしぼみ、励ましによって花開く。
期待をかける
☑ポイント
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相手のある点を矯正したいと思ったのなら、その点についてはすでに人より優れていると公然と伝えるのが得策です。相手の伸ばしたい部分を、すでに人より優れていると伝えてあげるのです。
例えば、シンデレラのような運命を辿ったベルギー娘の話です。
器量が悪く心身ともに貧相な女の子のマリーは、ホテルの給仕をしていました。マリーが料理を運んできた時、お客さんはこう言いました。「あなたは自分の中に素晴らしい宝物を持っているのに、気がついてない」と。
マリーは心から喜び、その言葉を信じました。それから、マリーは容姿に気を使い、押さえつけられていた若さが花開き、みるみる美しく変わっていったのです。その2か月後、コック長の甥と結婚することになりました。
良い評判を立ててやると、その人間はあなたの期待を裏切らないように努めるだろう。
激励する
☑ポイント
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相手の能力を信じ大いに励ましてやることで、相手は自分の優秀さを示そうと懸命に頑張るものです。時に、激励することは、相手の人生を変えることもあるのです。
何人かの人生の変化のエピソードが挙げられていますが、とくに印象的なのはジョーンズの息子ディビッドの話です。
デイビッドは、幼い頃の事故で頭に傷があったためか、15歳まで遅進学生ばかりの特別学級に所属していました。
九九もできず、字もろくに読めず、と言った学力でした。親は息子を励まし、毎晩算数のカードを使って、足し算・引き算・掛け算・割り算の勉強をした。正答すると大げさに喜び、息子の気分を盛り上げました。どんどん解くスピードがあがり、飛躍的に成績が上がっていったのです。
彼は、勉強が面白くて楽しいものと気づき、そこから数学だけでなく、読み方や絵の才能まで開花させていきました。二学年も遅れ、脳が損傷しているフランケンシュタインとからかわれていた少年は、親の激励によって確かな自信をもらい、人生を変えたのです。
激励して、能力に自信を持たせる
喜んで協力させる
☑ポイント
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喜んで協力させることは人間関係において重要な原則です。相手の身になり、誠実な対応をし、相手に利益があると気付くように話すことで、結果は大きく変わってきます。
例えば、義理のある筋から講演を頼まれても、しょっちゅう断っている男の話です。この断り方が巧妙で、相手もさほど嫌な気がしないのです。
まず依頼されたことへ心から感謝し、どうしても都合がつかないと伝え、最後に代わりの候補を推薦するというものです。がっかりさせる間も与えず次の候補者のことを考えさせるのです。相手の立場に立ったからこその対応です。
もちろん、この原則を使えば必ず良い結果が得られるとは限らないですが、少なくとも相手を変える可能性が高まります。
人に物を頼む場合、その頼みが相手の利益にもなると気づくように話せ。
「人を変える九原則」まとめ(D・カーネギー「人を動かす」)
以上、「人を動かす」より「人を変える九原則」の要約でした。
いろいろな方法が挙げられていますが、この九原則すべてに通じる大切な考え方がこちらです。
☑ポイント「人を変える九原則」
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ストレートに指摘・依頼するのではなく、相手の重要感を満たし、相手が気持ちよく動いてもらうように持っていくことが大切だと言えます。
一朝一夕でできることではないですが、長い目で見て習慣づけていくことで後々大きな結果を生み出しくれるのではないでしょうか。
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