高田郁「あきない世傳 金と銀 源流篇」の感想

待ちに待った高田郁さんの新刊「あきない世傳 金と銀 源流篇」、じっくりと一週間ほどかけて読みました。みをつくしシリーズの時はいつも1日程度で一気に読んでしまって、新刊が出るのを首を長くして待つ、ということを繰り返しておりました。面白すぎるのでどうしても一気読みしてしまうという方、多かったのではないでしょうか。

読書
今作ももちろん面白くてぐいぐい引き込まれました!今回はその感想です。ネタバレなので未読の場合はご注意を。

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「あきない世傳 金と銀 源流篇」感想

主人公の幸(さち)が、商の道へ入り成長していくという物語です。あらすじというよりは、印象に残ったところ、感じたことを主に書いています。

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武庫郡津門村の学者の家に生まれた幸と家族の日々から、お話が始まります。幸は、学者で子どもたちに読み書きを教えている父親の重辰、女に学はいらないという母親の房(でもとても家族想いで好感がもてます)、妹の結との4人家族。

とても知的好奇心の強い子で、周囲からも聡い子どもと言われている幸ですが、その知的な一面を表す特に象徴的なエピソードが、七夕の短冊に『知恵』と書いたこと。願い事に「知恵がほしい」と書くところ。下手に説明するより、これだけでじわじわと幸の性格がわかるような気がします。

これから壮大な物語が始まるぞ~と感じたシーンは、川沿いにある櫓を兄と一緒にのぼり、夕日と川のきらきらする様を眺めた時。
兄が、夕日を金色、川の輝きを銀色と言うところ。幸は、金貨や銀貨を見たことがなくその色を知らなかったのですが、ここで始めて知ったのです。「あきない世傳 金と銀 源流篇」と書名にもなっているし、今後は商人になって金貨銀貨を扱うのだろうなぁと幸の将来を想像しました。
あと、思ったのが当時の学者は商人を良くは思っていなかったのかな?ということ。
父親の次のような言葉が印象に残っています。

「手の荒れておらぬ者は信用するな」
「自らは何も生み出さず、汗をかくこともせず、誰かの汗の滲んだものを右から左へ動かすだ  けで金銀を得るような、そんな腐った生き方をするのが商人だ」

武士は嫌われているというイメージでしたが、商人もそうだったのかもしれませんね。

そう教えられてきた幸ですが、兄と父が亡くなり、生きていくために生まれ故郷を出て大阪天満の五鈴屋で奉公することになります。
この五鈴屋での奉公が、幸の商人(実際はまだ商いには直接関わらないですが)としてのスタートです。初めは他の女衆とともに奉公するのですが、番頭の治兵衛に目をつけられて、少しずつ商いについて、教えてもらうことになります。
また、四代目徳兵衛の末弟 智蔵も幸の持つ学びたい気持ちに気づき、いろいろ便宜をはかってくれるようになります。周りの人に助けられつつ、知恵をつけていくのですが、こういうあったかい人達がたくさん出てくるのが、高田郁さんの小説の魅力ですよね。

と思っていたら、今作はなかなかのダメ人間が登場します!
それは、五鈴屋の現店主である4代目徳兵衛です。この徳兵衛の結婚と離婚など大変な事件もあります。この男は新町廓に通いづめ、周囲にもそれが知られ、店の信頼を損ない暖簾に傷をつけるなど、かなりのダメ人間。当然ながらそれを良く思わない惣次(徳兵衛の弟で商才がある)と喧嘩をし、家の中の空気は最悪。短い間ですが徳兵衛の妻となった菊栄さんがとても良い感じだっただけに、五鈴屋の人達の落胆も大きかったのでした。
私もまさかこんなに早く離婚するとは!?と読んでいて驚きでした。

そして、これから五鈴屋の将来はどうなるのか・・・と番頭の治兵衛や徳兵衛らの母親である富久が頭を悩ませます。
治兵衛が「徳兵衛の手綱を握って、商いにも知恵があり、五鈴屋の暖簾を守れるような娘は居てないだろうか・・・」と思いながら、幸の顔をじっと見つめるシーン。ここで本作は終わっています。

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すごく続きが気になるところで終了です!
幸にとって商いをする大きなチャンスでもあるし、でもダメ人間徳兵衛の妻になるのは何かいやだし、次どうなるの!?とドキドキしますね~。すでに幸ファンになっているので、できれば違う方法で商いできるようにならないかなぁと願っています。

あと、この源流編の時代は江戸時代の享保なんですが、享保(1716-1736)といえば享保の改革などが有名で倹約が奨励された時代です。少し前の元禄(1688-1704)の頃は元禄文化などが栄えて、物も売れる華やかな時代でした。そんな元禄バブルが終わった時代が、この物語の時代です。どことなく、今の日本(バブルがはじけて不景気をずっと抜け出せない)に重なるところがあるかもしれませんね。

そんな厳しい時代の中、「買うての幸せ 売っての幸せ」を実現させていくであろうこれからの
幸の商道に期待です。そして何よりはやく続きが読みたいです!近日、サイン会もあるし直接先生に会えるのも嬉しいですね。今まで2回行きましたが、お人柄が作品に現れているような気がして、より好きになること間違いなしです。

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kanren01
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