デール・カーネギー「人を動かす」の感想|意外な読み所は裏カーネギー!?

人間関係
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D・カーネギーの名著「人を動かす」は、1937年発売されてから今までずっと売れ続ける大ベストセラーです。読んでみてその理由がわかりました。その書名から、コミュニケーションやリーダッーシップ論などの内容なのかと思われる可能性もありますが、中身はもっと普遍的なもの、人間関係を円滑にする方法です。きっと、どんな立場・境遇の人でも、何か悩みやストレスがあるなら、その解決のヒントが見つかるはずです。

 

今回は、「人を動かす」を読んでみた感想をご紹介したいと思います。本を読みこまないとわからない、カーネギーの意外な一面にも触れています。怒ったり、騙したり、ふらふらしたり、きっとカーネギーおじさんに親しみが持てるはず♪

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「人を動かす」目次・内容を1文で要約!

本書は、かなりのボリュームがあります。目次を見るだけでも、その内容が膨大で多岐にわたっていることがわかります。

人を動かす カーネギー

  目次

◇PART1 人を動かす三原則

  1.  盗人にも五分の理を認める
  2.  重要感を持たせる
  3.  人の立場に身を置く

◇PART2 人に好かれる六原則

  • 1 誠実な関心を寄せる
  • 2 笑顔を忘れない
  • 3 名前を覚える
  • 4 聞き手にまわる
  • 5 関心のありかを見抜く
  • 6 心からほめる

◇PART3 人を説得する十二原則

  • 1 議論を避ける
  • 2 誤りを指摘しない
  • 3 誤りを認める
  • 4 穏やかに話す
  • 5 〝イエス〟と答えられる問題を選ぶ
  • 6 しゃべらせる
  • 7 思いつかせる
  • 8 人の身になる
  • 9 同情を寄せる
  • 10 美しい心情に呼びかける
  • 11 演出を考える
  • 12 対抗意識を刺激する

◇PART4 人を変える九原則

  • 1 まずほめる
  • 2 遠まわしに注意を与える
  • 3 自分の過ちを話す
  • 4 命令をしない
  • 5 顔をつぶさない
  • 6 わずかなことでもほめる
  • 7 期待をかける
  • 8 激励する
  • 9 喜んで協力させる

◇付 幸福な家庭をつくる七原則

  • 1 口やかましく言わない
  • 2 長所を認める
  • 3 あら探しをしない
  • 4 ほめる
  • 5 ささやかな心尽くしを怠らない
  • 6 礼儀を守る
  • 7 正しい性の知識を持つ
  • 訳者あとがき

と、さまざまな切り口から人間関係の問題へと迫っています。さらに、これら一つ一つの項目に、豊富な具体例を挙げているので、読み応えがあります。ただ、時間に余裕がない時、早く要点を知りたいという方には、すこし冗長に感じるかもしれません。私も、以前はそう思っていました。

本の内容を一言で表す名言!

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そんな時に役立つのが、本書の内容が凝縮されたこの名言です。これを頭に入れてから読むことで、本の理解度がぐんとアップするはずです。

人を動かす秘訣は、この世に、ただ一つしかない。すなわち、自ら動きたくなる気持ちを起こさせること――これが、秘訣だ。

本書のすべての章は、「人に自ら動くたくなる気持ちを起こさせる方法」が書かれているといっても過言ではありません。目次にもなっている具体的なテクニックは当然大切ですが、その目的が何なのかは常に意識しておきたいと感じました。これを忘れ、テクニックばかりに意識がいくようでは、本末転倒。人を動かす上で、特に大切な心構えを表している名言です。

 

さらに、本の内容を深くお知りになりたい時は、全ての章をそれぞれ要約しているこちらの記事がおすすめです。
👉【保存版】「人を動かす」要約(全章ごと一言ポイント+内容まとめ)

 

具体例が豊富!どんな立場の人にも当てはまる!?

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具体例がたくさ紹介されているのが、本書の特徴です。スティーブン・R・コヴィー博士の『7つの習慣』と印象としては近いものがあります。さまざまな偉人や市井の人々(労働者、親、子ども等)の例が挙げられています。

 

有名な人で言うと、中国の老子、ナポレオン、アルフレッド・アドラー、ジョン・ワナメーカー、リンカーン、ルーズベルト、ロックフェラーなどの偉人や、二丁ピストルのクローレー、暗黒街の王者アル・カポネといった極悪人の話も登場します。偉人、悪人どちらも大いに学ぶべきところはあるものです。

 

また、私たちにとっていちばんイメージしやすい身近な存在といえば、ごく普通の一般の人々です。反抗期の子どもとうまくコミュニケーションを取る親、転職活動を長引かせずすぐ複数の会社から内定をもらう求職者、頑固な家主にうまく交渉して家賃を下げてもらった借家人、など、身近な例がたくさん掲載されています。

 

あなたの状況と似たような例がある可能性は大です。すぐにでも試してみたくなる方法が、きっと見つかるのではないでしょうか☆本書の魅力は、リーダーシップを取らなけれないけない立場の人だけでなく、すべての人に役立つ知識が散りばめられています。

D・カーネギーに裏の顔!?ブラックカーネギーをご存知?

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デール・カーネギーは、『人を動かす』はじめ『道は開ける』『カーネギー話し方入門』『カーネギー名言集』『カーネギー人生論』など、数々の本を出版しており、どれも高い評価を得ています。

私は、今回『人を動かす』を読むまで、著者のことをものすごく真面目で聖人君子のような紳士だと思っていました。だから、本の内容も固くて形式ばっていて、親しみの持てないものかもしれない・・・なんて思っていました。要は、食わず嫌いならぬ読まず嫌いだったのです。同じようなイメージを持っている人は多いのではないでしょうか?

 

でも、実際読んでみて、そのイメージは崩れさりました!カーネギーは、茶目っ気があり、自分の失敗談も大いに語り、そして時にブラックなことも言ったりと、人間味あふれるおっちゃんだったのです。

ここでは、本書を実際に読んだ人しか知らないデール・カーネギーの裏の顔をのぞいてみましょう。

1.悪い比喩を駆使するブラックカーネギー

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カーネギーは、たまにちょっと皮肉っぽい比喩を使います。例えば、魚釣りをする時に釣り針には魚の好物をつけるのは当然、という話を書いた直後に、こんな文章が出てくるのです。

人を釣る場合にも、この常識を利用していいわけだ。

 

また、「誠実な関心を寄せる」という章では、犬についてこんなことを述べています。

鶏は卵を産み、牛は乳を出し、カナリヤは歌を歌わねばならないが、犬はただ愛情を人に捧げるだけで生きていける。

もちろん、犬を見習って、相手に誠実な関心を寄せることの大切さを説いているわけですが、この文章だけ見ると、ちょっと驚きませんか。犬は何にも役に立たないみたいな感じで。

でも、私たちは結局他人のことよりも自分のことに関心がある生き物です。だからこそ、犬のように相手に真っすぐ関心を寄せる姿勢は、貴重であると気づかさせてくれる良い例です。

 

2.つい人の間違いを指摘しちゃうカーネギー

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あるパーティーにカーネギーが出席した時の話。隣の席の男が、”人間が荒けずりをし、神様が仕上げをしてくださる”という引用句について、面白い話をした。そして、男はこの言葉を聖書に載っていると言った。しかし、実際はシェークスピアの言葉だった。カーネギーは、つい男の間違いを指摘したが、男は「そんなはずはない!絶対に聖書だ」と言い合いになり、否を認めなかった。せっかく面白い話をしてくれた男に、人前で恥を欠かせてしまいました。カーネギーはする必要のない議論をふっかけたことを後悔したのです。

 

この話は、”議論に負けても、その人の意見は変わらない”ことを伝えるための例なんですが、自らの恥ずかしい失敗談をしっかり載せるところは、好感が持てますよね。

 

また、カーネギーは大学時代に論理学と弁論を研究していて討論会にも積極的に参加していたようです。しかも、自分で自分のことを「恐ろしく理屈っぽくて、証拠を目の前につきつけられるまで、めったに降参しなかった」と書いています。そんな面もあり、つい我慢できず間違いを指摘してしまったのでしょう。カーネギーも若き日は失敗をしていたんだなぁと、親近感が湧いてきます。

しかし、この話から学べる”議論に勝っても、相手の意見は変わらない”という教訓は、大切なことです。私自身、つい間違いを指摘したくなる時はあるので、戒めたいと思いました。

3.転職が多くフラフラしてた若き日のカーネギー

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若いころからすごい人物だったにちがいない!と何となく思ってしまいますが、カーネギーは決してそうではありませんでした。現代にも普通にいる、職を転々とする若者でした。ここで、彼の経歴を簡潔にご紹介します。

 

カーネギーは1988年、アメリカはミズーリー州で生まれました。貧しい農家だったため、お金には苦労した少年時代を送ります。それでも頑張って大学へと進学します。そして、州立学芸大学卒業後、さまざまな職業を経験していきます。

 

雑誌記者、俳優、セールスパーソン(中古自動車、精肉販売、通信教育販売)等、いろいろな職業を経て、YMCAの弁論術担当となります。彼は、弁論や論理学の研究を大学時代にしており、原点に戻ったという感があります。

ここで、「話し方講座」を始め、さらにビジネスマン向けの話し方のトレーナーとして活動し、弁論術の仕事が軌道にのり、やがてD.カーネギー研究所を設立するに至る。ちょうど、世界大恐慌の時期と重なり、失職や破産した人々が激増したのもカーネギーの成功を後押ししました。その後、1933年にラジオ番組を持ちさらに有名になり、1937年に出版された『人を動かす』が広く読まれるようになり、成功を収めました。

 

と、簡単に経歴をまとめてみましたが、転職回数がかなり多いのが特徴です。彼の仕事のスタートは、劇団員だったのですが、このことからもどちらかというと芸術家肌タイプと言えそうです。ビジネスにはあまり関心がなかったのでしょう。結果、何度も就職してはすぐに辞めてしまっています。でも、この経験は決して無駄になりませんでした。いろいろな環境でさまざまな人間を見て、その経験が、大学時代の弁論・論理学の勉強と合わさり、人に話し方を教えるという道で華開いたのです。

 

若い頃から試行錯誤を続け、30代後半にしてやっと成功したというのが、親しみを持てますよね。30代後半でブレイクする俳優や芸人さんって、何か応援したくなりますが、カーネギーも当時そんな風に思われてたのかもしれません。

本の内容が素晴らしいのはもちろんですが、苦労を重ねたカーネギーが言うからこそより人々の胸に届いたのかもしれません。

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まとめ

『人を動かす』の感想、いかがでしたでしょうか?内容のすばらしさとブラックカーネギーについて、触れてみました。今回の要点を簡潔にまとめてみました。

 

本の内容 一言まとめ

「人を動かす秘訣は、自ら動きたくなる気持ちを起こさせること」

当たり前のような言葉ですが、実践できてる人はなかなかいないものです。これを実践するためにあわせて意識したいのが、「相手に重要感を持たせる」という原則です。誰しも自分のことを特別と思っているということを、意識することで接し方が自ずと変わってくるはずです。

 カーネギーの裏の顔あれこれ

・悪い比喩も使う皮肉屋さん

・つい間違いを指摘する理屈屋さん

・フラフラ転職ばかりしていた

以上、私が本を読んでとても印象深いと感じた内容でした。1930年代から読み続けられるのには、それなりの理由があるのだなと納得です。

多数発売されている自己啓発本ですが、今まで私が読んだことがあるものは、”自分自身”に焦点を当てたものが多かったです。『思考は現実化する』『7つの習慣』など、他社について触れていることもありますが、自分自身の考え方をどう変えるかが主なテーマでした。

一方、本書では、徹底的に”相手の立場になって考える”ことを繰り返しています。その上で、自分の行動をどう変えるのか、といった内容です。もしも、今まで”自分自身”に焦点を当てた自己啓発本・ビジネス本を読んできたかも、という方は目から鱗が落ちると思います👀

 

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