デール・カーネギー「人を動かす」の要約|人間関係に疲れた時に響く名言たちの宝庫

人を動かす カーネギー

デール・カーネギーの『人を動かす』はあらゆる自己啓発書の原点とも言われ、1937年に発売されてから現在まで支持され続ける不朽の名作です。本のタイトル通り、人を動かす立場にある人はもちろんですが、人間関係に疲れた時やストレスで辛い時など、現状を良い方向に変えたい人にも、大きな力を発揮する内容です。

本書では、人を動かす重要な原則を偉人や一般の人々の例を豊富に挙げながら説明されているのですが、膨大な量なので読むのを先延ばしにしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、とくに印象的な例だけを抽出しわかりやすいように要約しました。また、各章のポイントとなる名言や一文を引用しています。本の要点を簡潔に知りたいなら、きっと役立つ内容となっています。

人を動かす三原則

日の出朝日☀

盗人にも五分の理を認める

この章では、強盗犯や殺人犯といった凶悪な犯罪者が自分のことをどう思っているかが、例を挙げて説明されています。例えば、大勢の人を殺した殺人鬼クローレーの最後の言葉を見てみましょう。

「自分の身を守っただけのことで、こんな目にあわされるんだ」

驚くべきことに、自分が悪いと全然思っていなかったのです。こんな考え方をする犯罪者は決して珍しくなく、むしろ自分のことを悪人と考えている受刑者はほとんどいません。彼らは、善良な一市民と同じで、なぜ犯罪を犯してしまったのかを実にうまく正当化するのです。

極悪人でも自分が正しいと思いこんでいるのなら、一般の人間は自分のことを、いったいどう思っているのだろうか?

当然ながら、誰しもが自分を正当化する理由を持っており、人を非難・批判したり苦情を言ったりすることは無益なこと。その代わり、相手を理解しようと努めることで、同情・寛容・好意が自ずと生まれでてくるのです。

重要感を持たせる

人を動かす秘訣は、「自ら動きたくなる気持ちを起こさせること」とD・カーネギーは言います。人間には、食欲・睡眠欲・性欲等いろいろな欲求がありますが、めったに満たされることがなく根強い欲求が”自己の重要感”です。これを満たすことができる人のみが、他人の心を手中に収めることができるのです。

この方法を活用し人を扱う名人だったチャールズ・シュワッブは、鉄鋼王アンドリュー・カーネギーにUSスチール社の社長として迎えられました。シュワッブが若干38歳の時でした。彼が成功を収めた理由について、次のように言っています。

私には、人の熱意を呼び起こす能力がある。(中略)私は決して人を非難しない。人を働かせるには激励が必要だと信じている。だから、人をほめることは大好きだが、けなすことは大嫌いだ。

一見、当たり前のような内容ですが、これを常に実行できている人はなかなかいないのが現実です。また、シュワッブは、部下だけでなく、どんなに地位の高い人でも、ほめられて働くほうがいい結果につながるとも考えていました。

ほめると言っても、軽いお世辞では通用しないケースも多々あります(賛辞に飢えた人々もいますが)。そんな時は、「相手の自己評価にぴったり合うこと」を見つけて、本心から言ってあげるのがポイントです。そのコツは、相手の長所を探すこと。長所を普段から探すようにし、嘘でない心からの称賛を与えましょう。

人の立場に身を置く

人を動かす時に忘れてはいけないのは、その人の好むものを問題にし、それを手に入れる方法を教えてあげることです。「釣り針には魚の好物をつけるに限る」のと同じように。

例えば、アンドリュー・カーネギーにこんな話があります。カーネギーの義妹には、大学生の息子2人がいましたが、心配して手紙を書こうにも全然返事をよこさないと悩んでいました。そんな息子2人に、カーネギーは手紙を書き、返事を出させることに成功したのです。しかも、「返事をくれ」とも書かずに。手紙の内容はとりとめもないことでしたが、追伸に「2人に5ドルづつ送る」と書き、その金は同封しなかったのです。甥達からは、すぐに感謝の手紙が来たのは言うまでもありません。

子どもの偏食がひどいことで悩んでいた親の話です。「お母さんは、坊やにこれを食べてもらいたいの」「お父さんは、坊やが体の立派な人間になってもらいたいんだ」など、小言ばかり言ってました。当然、子どもの偏食は治りません。

子どもは三輪車で遊ぶのが大好きでしたが、近所に手に負えないガキ大将がいて、そいつが三輪車を取り上げて乗り回すということがよくありました。そこで、両親は息子の立場になり、同時に自尊心を満たす言葉をかけたのでした。「何でも食べさえすれば、今に、あの子よりも強くなるよ」と。偏食の問題は、たちまち消えてしまったのです。

「まず、相手の心の中に強い欲求を起こさせること。これをやれる人は、万人の支持を得ることに成功し、やれない人は、一人の支持者を得ることにも失敗する」

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人に好かれる六原則

笑顔赤ちゃん

誠実な関心を寄せる

「誠実な関心を寄せる」を教えてくれる先生は、犬です。近づくと尾をふりふりし、なでてやると夢中になって好意を示す犬は、ただ愛情を人に捧げるだけで生きていける数少ない動物です。牛は乳を出し、鶏は卵を生まないといけないのとはちがうのです。

心理学者アルフレッド・アドラーの言葉です。

「他人のことに関心を持たない人は、苦難の人生を歩まねばならず、他人に対しても大きな迷惑をかける」

他人に関心を寄せることがどれほど大切か、こんな例があります。

ナフルという男は、あるチェーンストアへ石炭を売り込もうとしていましたが、何年もうまくいきませんでした。チェーンストアでは燃料を市街から買い入れてたこともあり、ナフルは快く思っていませんでした。しかし、売り込みは一生懸命続けていたのです。

そんな時、ナフルは”チェーンストアの普及は国家にとって果たして有害か”という討論会に出ることになりました。ナフルはチェーンストアに行き、「今日は石炭の売り込みに来たのではありません。実は、チェーンストアについていろいろ教わりたくて、あなたより他に適当な人はいないと思い、お願いにあがったわけです」と言ったのです。すると、1分間だけとの約束だったのが、相手は熱弁してくれ2時間近くも話し続けたのです。そして、別れ際に一言。「春になったら、またいらしてください。石炭を注文したいと思いますから」

しかし、これは何も目新しいことでもありません。紀元前100年にすでに、ローマの詩人パブリアス・シラスが次のように説いています。

「我々は、自分に関心を寄せてくれる人々に関心を寄せる」

笑顔を忘れない

笑顔には特別な力があります。心からの笑顔は、相手に対しての好意・会えた喜びなどプラスの感情を言葉よりも雄弁に伝えます。仕事の成功、人間関係には笑顔は欠かせません。

でも、笑えないほどつらい状況な時もあります。そんな時こそ、楽しそうに快活そうに笑顔をつくることで、精神状態を良い方向へ向かわせる効果があります。感情は、動作を調整することで、間接的に調整することができるのです。

買うことも、強要することも、借りることも、盗むこともできない笑顔はかけがえのないもの。当然ながら、心にもない笑顔、機械的な冷たい笑顔はいけません。むしろ、逆効果です。心からの笑顔を無償で与えてこそ、意味があるのです。

名前を覚える

普通、人は他人の名前など気にもとめないですが、自分の名前になると話は別です。名前を呼ぶことは、下手なお世辞よりもよほど効果があるのです。

アメリカの郵政長官を務めたジム・ファーレーの例です。ジムは貧しい子ども時代を過ごし、仕事で学校に通う暇はありませんでした。しかし、46歳の時には4つの大学から学位が贈られ、民主党全国委員長、そして、郵政長官へと昇っていきました。その成功の秘訣は、5万人以上の名前を憶えていたことです。いいえ、名前だけでなく、家族、職業なども頭に入れていました。そして、次に会った時(たとえ一年後でも)、その人の妻や子どものこと、庭の植木のことまで尋ねたりすることができたのです。支持者が増えないわけはありません。

フランクリン・ルーズベルトがたまたま出会った一介の機械工の名を覚えるために時間を割いてた話、鉄鋼王カーネギーが自分のもとで働いている労働者の名前を覚えることを誇りにしていた話など、人を動かす立場の人々のエピソードが紹介されています。

有権者の名前を覚えること―それが、政治的手腕というものである。それを忘れることは、すなわち、忘れられることである

相手の名前を呼ぶことは、相手に重要感を持たせることに他なりません。名前を覚えることは、ビジネス・友人関係・政治活動など、すべての人間関係に当てはまる大切なことです。

聞き手にまわる

相手の話をよく聞くことの大切さについて、多数の例を挙げて説明されています。

例えば、著者があるパーティーである有名な植物学者と会話した時のエピソードです。著者は、珍しい植物や、新種を作り出すさまざまな実験についての話にすっかり魅せられました。他にもパーティー参加者は10数名ありましたが、何時間もその学者と話し続けたのです。パーティーの帰り際、その植物学者は家の主人に向かって、著者のことをほめちぎり、”世にも珍しい話し上手”と言われました。実際のところ、著者は植物学に無知でしゃべろうにもしゃべれません。ただ、話が面白くて夢中になって聞いていただけです。

ジャック・ウッドフォードにこんな言葉があります。

「どんなほめ言葉にも惑わされない人間でも、自分の話に心を奪われた聞き手には惑わされる」

関心のありかを見抜く

人の心を捉える近道は、相手の最も関心を持っている問題を話題にすることです。

例えば、セオドア・ルーズベルトは、どんな来訪者が来てもその人に適した話題を持ち合わせていたと言われています。多忙な中、前の日の晩に時間を割いてしっかりと準備していたからです。相手の関心のある話をすることは、それだけの価値があるのです。

他に、求職や営業などいろいろな場で、この法則が役にたった事例が挙げられています。

相手の関心を見抜き、それを話題にするやり方は、結局、双方の利益になる。

心からほめる

誰しも、見え透いたお世辞は聞きたくないですが、心からの称賛には飢えています。だからこそ、心から本音で誉めることはとても大切です。それは、相手の重要感を満たすことになるからです。

人間関係の法則について、はるか昔から伝えられている教訓があります。孔子、老子、釈迦、キリストなどなど、彼らは同じ意味のことを説いています。キリストの言葉を例に挙げてみましょう。

「すべての人にせられんと思うことは人にもまたそのごとくせよ」

心からほめられた人たちが相手にどんな対応を取ったのか、称賛の原則を使い成功を収めた複数の人物の興味深いエピソードが紹介されています。

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人を説得する12原則

会話トーク男女

議論を避ける

議論をして相手を負かせると気分は晴れますが、相手は自尊心を傷つけられます。さらに、相手が間違っていたとしても、まず否を認めることはありません。むしろ、溝は深まるでしょう。忘れてはならない一つの法則がこちらです。

「議論に負けても、その人の意見は変わらない」

議論ではなく、相互理解を目指すことが大切です。相手の言い分をよく聞き、まず賛成できるところを探しましょう。まず現れる自分の立場を守ろうとする本能に流されないことが肝要です。もちろん、こちらに誤りがあれば率直に謝罪します。また、相手が強く反対しても、同じ問題に強く関心を持っていて解決を目指すために意見を言ってくれているのだと考えます。論敵は味方とも言えるのです。議論を避けて、相手の重要性を認めることで良い方向へと進むのです。

誤りを指摘しない

他人の誤りを指摘することは、簡単です。ただ、相手の立場で考えると、これは自尊心に平手打ちをくらわされたようなものです。これでは、相手の考えはまず変わりません。

人の考えを変えるには、相手に気づかれないようにすることが重要です。明らかに相手が間違っていてもそのまま指摘せずに、「私にはそう思えるのだが・・・」あるいは「おそらく私の間違いでしょう。私はよく間違います。ひとつ事実をよく考えてみましょう」といったように、婉曲的な表現で話をすすめるのが効果的です。

著者カーネギーのこんな話が載っています。インテリア・デザイナーに部屋のカーテンを作らせたが、その請求者が驚くほど高かったのです。後日、ある婦人が部屋を訪ねてカーテンのことにふれ「ずいぶんなお値段ね。だいぶ儲けさせたんですよ」と指摘した。その通りなのだが、カーネギーは認めずに「上等だから当然」など大いに自己弁護をしました。

次の日、別の婦人がやってきて、そのカーテンをしきりにほめてくれました。カーネギーの反応は以前とは正反対で「実のところ、ぼられたような気がします。後悔しているんです」と気持ちよく認めたのです。

ガリレオは次のような言葉を残しています。

人に物を教えることはできない。自ら気づく手助けができるだけだ

私たちは、無理矢理に正論を押し付けられるとなかなか認められないものですが、相手の出方が優しくて巧妙だとあっさり認めることはよくあります。むしろ、自分の率直さが誇らしく感じることもあるのです。相手の意見に敬意を払い、誤りを指摘しないことが、結果的に相手の考えを変えることにつながるのです。

誤りを認める

自分の誤りをすぐに認めることは、苦しい言い訳をするよりよほど効果があります。他人の批判より自己批判のほうが気が楽と考えると、認めやすく思えるのではないでしょうか。

あれこれ指摘される前に自ら非を認め謝ることで、相手の言うことがなくなり、寛大な態度になり許してくれる可能性も出てくるでしょう。あわせて、相手の重要感を満たすことにもつながります。ことわざにも「負けるが勝ち」というように、誤りを認めることの効果は計り知れません。

自分が悪いと知ったら、相手にやっつけられる前に自分で自分をやっつけておいたほうが、はるかに愉快ではないか。

穏やかに話す

相手に腹が立った時、言い負かしてやると胸がすっとしますが、相手はどうでしょうか。当然、こちらの思い通りに気持ちよく動いてくれることはないでしょう。一方、穏やかに語りかけることで得られる結果は大きく変わってきます。

例えば、アパートの家賃を安くしてもらいたいと考えている技師の話があります。しかし、他の借家人はみんな交渉に失敗しており、家主ほど扱いにくい男はいないと言っていました。この技師は知恵をしぼり、家賃が高いことはおくびにも出さず、アパートの管理が素晴らしく、できればもう1年いたいなどと、ほめたたえました。

家主はこんな歓迎を受けたことがなく、苦情ばかり言う借家人達との対応の苦労話を語りはじめ、「あなたのように話の分かる人がいて、ありがたいです」と語ったのです。すると、何も言いださないうちに、家主のほうから家賃を少し下げようと提案してくれたのです。

穏やかに話すことの大切さを端的に伝えてくれるリンカーンの名言がこちらです。

「バケツ一杯の苦汁よりも一滴の蜂蜜のほうが多くのハエが取れる」

”イエス”と答えられる問題を選ぶ

人は、いったん「ノー」と言うと、その考えをひっこめたくなくなるものです。相手から指摘された場合は特に。この法則を逆に利用し、はじめから「イエス」と言わせる方向に話を持っていくことが効果的です。まず、意見が一致している問題から話を始め、相手に何度もイエスを言わせます。これを重ねることで、相手をこちらの思うところへ導きやすくなります。

銀行で勤めるジェイムズ・エバーソンは、この技術を用いてこんな結果を出しました。エバーソンは預金金口座を開こうとやってきた男の対応をしていました。書類に必要な事項を記入してもらおうとしましたが、男は一部の質問にはどうしても答えようとしませんでした。もちろん、エバーソンは「記入して頂けないなら、口座を開設することはできません」と言った短絡的で愚かな対応はせずに、イエスと言わせる技術を使い、次のように語りかけました。

「答えにくい質問にはしいて答える必要はありません。しかし、仮に預金されたままあなた万一のことがあれば、どうなさいます?法的にあなたに一番近い親族の方が預金を受け取れるようにしたくありませんか?迅速な手続きが取れるように、あなたの近親者のお名前をうかがっておくほうがいいとお思いになりませんか?」

相手のための質問だとわかると、男の態度は一変しました。もちろん、すべて「イエス」と答えてくれたのです。

相手が即座に”イエス”と答える問題を選ぶ

しゃべらせる

相手を説得するには、相手に喋らせるに限ります。もし、途中で異議をはさみたくなっても、相手が何か言いたいことを持っている限り、何を言っても無駄です。まずは、最後まで誠意をもって聞くことが肝心です。

極端な例ですが、あるメーカーの代表者の男が取引先と商談をした時の話を挙げておきます。大事な商談当日、不運にも男は重い咽頭炎にかかっていました。それでも、何とか無理してやってきました。しかし、話そうにも喉がキーキーと鳴るばかり…。紙に「喉を痛めて声がでません」と書いて伝えると、取引先の社長が「では、君に代わってしゃべってあげよう」と男から見本を取り、長所をほめだした。社長は男の代弁をしてたこともあり、男の味方になったようでした。男は、ただ頷いたり微笑んだりするだけで大きな取引を成し遂げたのです。

相手のことは相手が一番よく知っている。

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思いつかせる

私たちは、人から言われた意見よりも、自分で思いついた意見をはるかに大切にするものです。単に相手に意見を押し付けるのではなく、結論をうまく相手に出させるよう導くことが大切です。

デザイナーに下絵を売り込む仕事をしているウェッソンは、この技術を使い結果へとつなげました。デザイナーはいつも会って入念に下絵を見てくれるものの、毎回「どうも気に入りません」と言って、買うことはありませんでした。150回同じ失敗を繰り返したウェッソンは、やり方を変えました。

未完成の下絵を持っていき、「これをどういうふうに仕上げたら、あなたのお役に立つでしょうか」とやったのです。ウェッソンは、いろいろと意見を聞いたのち注文通りに仕上げました。もちろん、結果は全部買い上げとなったのです。

他にも、セオドア・ルーズベルト、あるビジネスマンや家族らの事例が紹介されています。

この章のポイントを端的に表している1文を引用します。

相手に相談をもちかけ、できるだけその意見を取り入れて、それが自分の発案だと相手に思わせて協力させるのだ。

人の身になる

相手を非難するのではなく、理解しようと努めることが大切です。本当に相手の身になってみてみることで、真の原因がわかり、結果にも同情を寄せられることができます。

車のローン支払いが6週間も遅れていたエリザベスという婦人の話をみてみましょう。ある金曜日、婦人のもとにローン担当の男から「月曜の朝までにお金を用意できなければ、しかるべき措置を取る」と電話がありました。週末のためお金の都合をつけようがありません。そのまま月曜を迎え、早速男から電話がありました。婦人は、面倒をかけたことを心から謝り、「私のように支払いを遅らせる客は最低な部類でしょう」と言いました。すると、男は「とんでもない」と、嘘をついたり、逃げ回ったりするもっと悪質な客の苦労話を語り続けました。最後に、婦人が頼んだわけでもないのに少し支払いを待ってくれることになったのです。

非難は、どんな馬鹿者にもできる。理解することに努めなければならない。

同情を寄せる

人間は、一般的に同情をほしがるものです。災難や病気の話を自らしたり、傷口を見せたり、程度の差こそあれ、自らの不幸を事細かに話す人は多いものです。だからこそ、相手の立場になった発言をすることが大切です。

相手がどんなに偏屈で、怒りっぽく、わからずやだったとしても、その原因を全て本人のせいと考えないことがポイントです。いろいろな悩み・障害を抱えており、気の毒と思ってあげるのです。そして、批判やアドバイスをするのではなく、まずこう言ってあげましょう。

「あなたがそう思うのは、もっともです。もし、私があなただったら、やはり、そう思うでしょう」

どんな相手でもこうこられると、案外おとなしくなるものです。著者カーネギーも「相手をやっつけるよりも、相手に好かれるほうが、よほど愉快である」と書いています。

美しい心情に呼びかける

相手の考えを変える時に「○○だから、□□してほしい」と理由を言って納得してもらう方法が定番です。しかし、ここで真実そのままの理由を言うのではなく、美しい理由を言うのが鍵です。

例えば、ロックフェラー2世は彼の子どもたちの写真が新聞に出るのを防ぐために、「あなた方の中にも子どものある方がいておわかりだと思うのですが、あまり世間が騒ぎ立てるのは、子どもたちにとってかわいそうです」と訴えた。

また、イギリスの新聞業者ノースクリフ卿も、自分の不都合な写真が勝手に掲載されているのを見つけて、取り下げてもらおうと「あの写真はもう掲載しないでいただきたい。母が大変いやがるものですから」と依頼した。

どちらのケースも、誰もが抱いている母や子への愛情を呼び起こす美しい心情に呼びかける理由です。

人間は誰でも理想主義的な傾向を持ち、自分の行為については、美しく潤色された理由をつけたがる。

演出を考える

映画、テレビ、ラジオ、ネットなど様々な番組や広告を見ると、演出・見せ方が重要なのがよくわかります。ドラマチックな演出は、メディアを通して以外にも、生活全般のコミュニケーションでもその力を発揮します。

ジェイムズ・ボイントンの元に、あるコールド・クリームのメーカーから製品の値下げをすべきか検討するために、市場調査報告書を作成してほしいと依頼がありました。1回目の訪問では、ジェイムズは失敗しました。議論になり、数字の正当性を主張し相手を言い負かせてしまったのです。気持ちはスッとしても商売にはなりませんでした。

2回目の訪問は、演出を使いました。カバンから32個のコールドクリームの容器を取り出し、机に並べました。相手の競合企業の製品で、容器にはそれぞれ売れ行き等の調査結果を書いた紙が貼ってあります。相手は容器を順にとり、じっと紙を見ていきます。前回とちがって、大いに話がはずみ、良い関係を気づくことができました。内容は、1回目の調査とほぼ同じでも、見せ方を工夫することで大きな違いが生まれるのです。

事実に動きを与え、興味を添えて演出しなければならない。

対抗意識を刺激する

人は、相手より優位に立ちたい・優れていると思われたいといった意識をもっています。この対意識をうまく利用し、生産性を劇的にあげた工場の話があります。

昼勤の帰り際に「何回、鋳物を流したかね?」と聞き、床に彼が答えた回数「6」と大きく書く。そこにやってきた夜勤の工員たちがその数字の意味を聞いて、作業に入る。翌日、昼勤がやってきたら、床には「7」と書かれていた。あとは、想像の通りですが、どんどん数字が増えていき、工場の能率がぐんぐんと上がっていきました。

この方法を実践したチャールズ・シュワッブはこんな名言を残しています。

「仕事には競争心が大切である。あくどい金儲けの競争ではなく、他人よりも優れたいという競争心を利用すべきである」

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人を変える九原則

まずほめる

何か相手に対して指摘したい時も、いきなり本題に入ってはいけません。まず誉めることが大切です。

例として、エイブラハム・リンカーンがフッカー将軍に宛てた手紙が紹介されています。南北戦争時代、国家の命運がフッカー将軍にかかっているともいえる状況で、彼は功を焦る余り、勝手な指揮をし、自国に多大な損失を与えたのです。明らかに重大な過失がある将軍にさえ、リンカーンはしっかりとほめてから、本題に入っています。ほめることの重要さがよくわかる参考になる内容です。

我々は、ほめられたあとでは、苦言もたいして苦く感じないものだ。

遠まわしに注意を与える

直接、注意をされると誰だって少しは不快な気持ちになるものです。人によっては、強く反発してくることだって有り得ます。そんな時に、役立つのが遠まわしに伝えることです。

例えば、「禁煙」と看板が出ている場所で喫煙する人達に注意をする場合、「さあ、皆で外で吸ってきたまえ」と言う話があります。言葉では明確に批判も注意をせず、相手の顔を立てて、よくないことだとほのめかすのがポイントです。

自分の過ちを話す

誰かに注意や小言を言う必要がある時、「自分も間違いが多く完全というわけではないが・・・」と前置きをした上で言うと、相手はそこまで不快に思わず聞いてくれるものです。

例えば、息子にタバコを吸わせたくない時に両親(2人とも喫煙者)はどう注意すべきでしょうか。もちろん、体に悪いからなどと言っても説得力は全くありません。そうではなく、「軽い気持ちで吸い始め、ニコチンの虜になりやめれなくなってしまった。どんなに咳に悩まされてるか見ているだろう」と語るのです。煙草の誘惑に負け、大きな損をしたと自らの過ちを話すことが、人を説得するのに大きな効果を生みます。場合によっては、これだけで充分相手の考えを変えることが可能となるのです。

まず、自分の誤りを話したあと相手に注意する

命令をしない

命令をせずに「ここをこうするともっとよくなるかもしれないが、どうだろう」といったように、相手の自主性に任せる方法をとることで、相手の自尊心を傷つけずに、伝えることができます。

明らかに相手に非がある時にも、このことを忘れてはいけません。例えば、駐車禁止の所に車を停めている人に「あの車をどけてくれたら、他の車の出入りが楽になるんだが、どうだろう」と言った具合に。「車をどけろ!」と言いたくなるかもしれませんが、こう言ってしまうと、あとにしこりを残し、人間関係に悪影響を与える可能性が大いにあるので、注意したいところです。

決して命令はせず、自主的にやらせる。

顔をつぶさない

相手の顔を立てて、一言二言でも思いやりの言葉をかけることは、とても重要です。特に、印象的なエピソードを紹介します。

アンナ・マーゾンという女性は入社以来初めての大仕事(新商品のテスト販売)を任せられました。その結果を発表する会議の直前、テストのやり直しが必要であることに気づきます。企画段階でミスがあったのです。そして、部長にも相談できぬまま、会議が始まりました。アンナは泣き崩れそうになるのをこらえながら、自分のミスで再度調査をする必要があると手短に説明しました。部長の怒りの言葉を待っていると、、、「新しい企画にミスはつきもの。最善を尽くして失敗したのは、能力不足ではなく経験不足から。次回の調査が有意義なものになると確信している」と労をねぎらい、期待してくれたのです。その後のアンナの働きぶりは言うまでもありません。

作家のサンテグジュベリにこんな言葉があります。

相手の人間としての尊厳を傷つけるのは犯罪なのだ。

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わずかなことでもほめる

犬に芸をしこむときに、少しでもうまくやれば、なでたり肉をやったりと大げさにほめてあげるものです。しかし、人間に対してこのように対応する人は少ないのではないでしょうか。子どもの間違いをしかりつける親、部下のミスを指摘する上司、などなど。

この章では、不遇な子ども時代にほめられたことで人生の転機を迎えた偉人達エンリコ・カルーソー、チャールズ・ディケンズ、H・G・ウェルズなどのエピソードが紹介されます。

批判によって人間の能力はしぼみ、励ましによって花開く。

期待をかける

相手のある点を矯正したいと思ったのなら、その点についてはすでに人より優れていると公然と伝えるのが得策です。相手の伸ばしたい部分を、すでに人より優れていると伝えてあげるのです。

例えば、シンデレラのような運命を辿ったベルギー娘の話です。器量が悪く心身ともに貧相な女の子のマリーは、ホテルの給仕をしていました。マリーが料理を運んできた時、お客さんはこう言いました。「あなたは自分の中に素晴らしい宝物を持っているのに、気がついてない」と。マリーは心から喜び、その言葉を信じました。それから、マリーは容姿に気を使い、押さえつけられていた若さが花開き、みるみる美しく変わっていったのです。その2か月後、コック長の甥と結婚することになりました。

良い評判を立ててやると、その人間はあなたの期待を裏切らないように努めるだろう。

激励する

相手の能力を信じ大いに励ましてやることで、相手は自分の優秀さを示そうと懸命に頑張るものです。時に、激励することは、相手の人生を変えることもあるのです。何人かの人生の変化のエピソードが挙げられていますが、とくに印象的なのはジョーンズの息子ディビッドの話です。

デイビッドは、幼い頃の事故で頭に傷があったためか、15歳まで遅進学生ばかりの特別学級に所属していました。九九もできず、字もろくに読めず、と言った学力でした。親は息子を励まし、毎晩算数のカードを使って、足し算・引き算・掛け算・割り算の勉強をした。正答すると大げさに喜び、息子の気分を盛り上げました。どんどん解くスピードがあがり、飛躍的に成績が上がっていったのです。彼は、勉強が面白くて楽しいものと気づき、そこから数学だけでなく、読み方や絵の才能まで開花させていきました。二学年も遅れ、脳が損傷しているフランケンシュタインとからかわれていた少年は、親の激励によって確かな自信をもらい、人生を変えたのです。

激励して、能力に自信を持たせる

喜んで協力させる

喜んで協力させることは人間関係において重要な原則です。相手の身になり、誠実な対応をし、相手に利益があると気付くように話すことで、結果は大きく変わってきます。

例えば、義理のある筋から講演を頼まれても、しょっちゅう断っている男の話です。この断り方が巧妙で、相手もさほど嫌な気がしないのです。その断り方はこうです。まず依頼されたことへ心から感謝し、どうしても都合がつかないと伝え、最後に代わりの候補を推薦するというものです。がっかりさせる間も与えず次の候補者のことを考えさせるのです。相手の立場に立ったからこその対応です。

もちろん、この原則を使えば必ず良い結果が得られるとは限らないですが、少なくとも相手を変える可能性が高まります。

人に物を頼む場合、その頼みが相手の利益にもなると気づくように話せ。


以上、D/カーネギーの「人を動かす」の要約でした。各章それぞれからエピソードや印象的な名言を引用していますが、実際にはもっと数多くの具体例が豊富に載っています。さらに、理解を深めたい場合は、ぜひ本を読んでみてください📖 自信を持っておすすめできる一冊です。

kanren01
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