『明治のサーカス芸人はなぜロシアに消えたのか』の感想

明治のサーカス芸人

『明治のサーカス芸人はなぜロシアに消えたのか』という本を読みました。タイトル通り、かなりニッチなテーマの内容です。意外だったのは、子どもの頃に木下大サーカスを1回見た程度でサーカスに特別関心があるわけじゃない私でも、強烈に引き込まれたことです!今回は、著者の熱い想いがつまったこの本の感想を、書いています。

究極のバランス

まずは、本の表紙にもなっているこちらの芸を見てみてください。動画がとにかく衝撃的!狂気すら感じさせる神業ではないでしょうか。


この本には、この芸ができるまでの過程が書かれているのですが、異国の地でスパイの汚名を着せられた芸人の、芸で身を立てようとする話などには、ぐっとこみ上げるものがありました。

本の感想と印象的なエピソード

ここからは、本の感想です。ちなみに、著者は大島幹雄さんという方で、本業はサーカスのプロモーター。その他に『サーカス学』などの著作もあり、サーカスや芸人などについて多数執筆活動をされている方です。

明治時代にロシアに渡り活躍していたヤマダサーカス。ここで活躍していた「イシヤマ」、「タカシマ」、「シマダ」という芸人の写真と、著者がモスクワで出会ったことをきっかけに本書が生まれました。

著者の3人の足跡、人生を辿る仕事の過程が細かく書かれています。手がかりは写真と名字のみ、調査はなかなか進まず、何と本が出版されるまで30年近くもかかっています。本業のかたわら、調査を継続していく様子が書かれているのですが、その進み具合がドラマチックなのです!
日露戦争、ロシア革命、ソビエト連邦での大粛清の時代など激動の歴史に翻弄されたサーカス芸人の人生は、強烈です。内容はもりだくさんですが、特に印象的だったエピソードが、


■ロシアで「シマダ」に会った日本人によると、別れ際にシマダは『日本人によろしく』
と言ったこと

■世界最高のジャグラーの一人といわれるエンリコ・ラステリが「タカシマ」に受けた影響

■「シマダ」の究極のバランス芸の完成への思い

などです。異国で己の芸ひとつで生きていく日本人たちの想いが、伝わってくるようでした。限られた資料の中から、ロシアや日本のサーカス関係者に会い、点を線につなげていく過程をぐいぐい読ませると同時に著者のサーカスへの大きな愛情を感じました。

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読み進めるうちに、明治期にロシアで活躍していた日本人がたくさんいた!ということが、もっと知られてほしいという思いが強くなっていきました。資料・映像などもあまり残っていないようですが、彼らの子孫の一部がサーカス関係の仕事をしていたり、究極のバランスなどの芸が受け継がれており、目をこらせば彼らの存在をしっかりと感じることができます。
明治期にロシアで活躍した日本のサーカス芸人の詳しいことは忘れられていくのでしょうが、
彼らの本物の芸は、間違いなく時代を超えています。


また、この本のエピローグは、サーカスへの愛情あふれる幻想的な文章で、とても感動しました。私のように特別サーカスに興味があるわけじゃなくても、充分面白く読める本です。何を
読もうかな~と思っている時には、よければ手にとってみてください。彼らの存在を多くの人が知ってくれるといいなと思います。

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kanren01
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